出向拒否の官僚に「省内に残せない」 経産省人事に波紋

(asahi.com 2010年7月20日3時0分) http://bit.ly/cRn61v


 経済産業省のキャリア官僚の処遇が波紋を広げている。50代官僚が今月、同省からの民間企業への出向打診を断った際、拒否しても省内に残せないと告げられたことが判明した。改革派とされるこの官僚の追い出しを図ったのではないかとの観測が省内で出ている。一方、50代官僚への出向打診は、菅内閣の方針による出向枠拡大を受けたもので、枠拡大に反対するみんなの党側がこの人事を知り、「役所に戻れないなら出向にならない。新たな天下りポストにすぎない」と批判。国会の新たな火種になる可能性がある。

 この官僚は、同省大臣官房付の古賀茂明氏(54)。同省や企業の関係者らによると、望月晴文・経済産業事務次官が今月5日ごろ、古賀氏に大手企業に出向するよう打診。出向後も給与水準が下がらないなどの条件を示したという。古賀氏がこの打診を断ったところ、望月次官は、近く予定されている同省の人事異動で、古賀氏には新たなポストが用意されていないと説明したとされる。古賀氏は現在、独自に再就職活動をしているという。

 古賀氏が「改革派官僚」として著名であるため、同省関係者によると、今回の出向打診は、うるさ型の改革派官僚を追い出すことが目的ではないかとみられているという。

 国家公務員制度改革推進本部事務局審議官などを歴任した古賀氏は先月、経済誌に掲載された実名の論文で、民主党政権下の公務員改革が不十分であると訴えた。現役官僚が実名で政府批判をすることは極めて異例だ。同省関係者は「古賀氏を遠ざけようとする政府の意向が影響しているのではないか」。

 古賀氏は朝日新聞の取材に対し、再就職活動をしていることを認めた。望月次官は「人事については話せない」。経産省秘書課は「個々の人事にはお答えできない」としている。

一方、この事情とは違い、天下り問題として重視する意見も出ている。この出向打診は、菅内閣が6月に閣議決定した国家公務員の「退職管理基本方針」を受けたもの。方針では、定年まで働ける環境整備のため、民間企業への出向対象が30~40代だけでなく、50代の局長、部長級職員にまで拡大された。出向期間は最大3年間だが、天下りできないベテラン官僚が滞留するのを避ける狙いだ。

 この基本方針について、「形を変えた天下り」と批判しているのが野党側。特に、出向枠拡大に対し、渡辺喜美代表が「自民党時代よりパワーアップした天下りシステム」と批判するみんなの党では、公務員制度の抜本的改革を政府に求めるうえで、古賀氏の出向打診の例を含む枠拡大の問題性を、国会で論議の対象にする意向だという。

 これに対し、民主党側は、出向枠拡大について、出向時には退職金を支払わないことなどを理由にあげ、従来の天下りとは一線を画すとして基本方針を堅持するとみられる。(野口陽)




参照:

≪菅敗でも続投・反感かって反菅へ・小沢さんはここは沈思黙考か?≫(本ブログ7/14エントリー) http://bit.ly/9TN63j

菅政権が脱官僚を撤回することによって、霞が関の中で改革派官僚のパージが行われているという。

昨年12月以来経済産業省本館の12階の個室に半年以上にわたり"軟禁"されている官僚がいるというのだ。


≪経産省から内閣の国家公務員制度改革推進本部事務局に出向して天下り規制などに辣腕を振るった古賀茂明・審議官だ。彼は政権交代後、鳩山内閣の行政刷新相に就任した仙谷氏のブレーンとして改革案を献策。
霞が関を震撼させた「事務次官ポストの廃止」という大改革案も、古賀氏のアイデアだったとされる。だが、古賀氏の急進的な改革姿勢は財務省に睨まれ、結局、財務省と手を握った仙谷氏は古賀氏を更迭。以来、次の役職が決まるまでの待機ポストである「官房付」という窓際へと追いやられた。さる7月初め、参院選渦中にその古賀氏に早期退職勧奨がなされ、親しい財界の知人に今後の身の振り方を相談しているとの情報が霞が関に駆け巡った。
・・・古賀氏とともに公務員改革を手掛けた元経産官僚の原英史・政策研究大学院大学客員准教授が語る「菅総理や仙谷官房長官は、古賀さんの改革提案を受け入れずに改革を後退させたので、古賀さんの存在そのものが煙たい。上等な天下り先を用意して踏み絵を迫り、口封じしたいのかもしれない。しかし、古賀さんはそんな提案を蹴っとばすはずです。本来なら次は局長に昇進すべき人材。官房長官が古賀さんを局長に起用するか、クビを切るのかで姿勢がとわれます」≫