駐留経費交渉で来日 米国務次官補インタビュー一問一答

(asahi.com 2010年7月23日23時53分) http://p.tl/f0EF


 在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の交渉で訪日中のシャピロ米国務次官補が23日、朝日新聞とのインタビューで語った主な内容は次の通り。

 (聞き手・加藤洋一編集委員)

 ――日本の受け入れ国支援(HNS=思いやり予算)の現状をどう見ますか。

 「今回、日本に来たのは駐留経費に関する特別協定の交渉を始めるためだ。我々は、(この交渉が)両国関係の重要性を再確認するための格好の機会だとみている。HNSと米軍の日本におけるプレゼンス(存在)が(アジア太平洋)地域の安全と安定を維持するために果たしている役割の重要性を再確認する好機でもある」

 ――「思いやり予算」(SYMPATHY BUDGET)という言い方をどう思いますか。

 「日本のHNSの貢献を説明するのに正しい方法だとは思わない。我々は、『貢献』とみており『負担』とは思っていない。その貢献は、アジアの安全と安定を維持するため米国と日本が築いたパートナーシップの一部分だ。我々は、この(同盟)関係は双方にとって価値のあるものだと考えている。したがって、それを『負担』と表現することは、この(同盟)関係と日本の『貢献』の重要性を過小評価するものだ」

 ――日本の「貢献」の水準は妥当なものだと思いますか。

 「それはまさに、これから日本側と協議することであり、我々はメディアを通じて交渉したりはしない。今後の交渉で、米日同盟の価値や、同盟がいかに(地域の)安全や安定を維持・強化しているかをはっきり示すことが重要だと考える」

 ――日本を取り巻く安全保障環境は悪化しているのではないでしょうか。

 「最近、朝鮮半島で起きた出来事(韓国の哨戒艦沈没)は、両国が直面する問題を象徴的に示すものであり、強固な米日安保関係の重要性も明示している。HNSは安保関係の根本的な部分となっている」

――日本の思いやり予算は過去10年間、減少が続いています。日本政府は来年度に向けてさらに削減しようという構えです。受け入れられますか。

 「今回の交渉で焦点となるのは『地域の安全と安定を確保するため、米国が役割を果たし続けるには何が妥当な数字なのか』という問いかけだ。両国は誠実にこの問題に取り組もうとしており、最終的に双方にとって満足のいく解決策にたどり着くことができると考えている」

 ――5月末に日米両国が沖縄の米軍再編について合意した共同発表の中には、次のようなくだりがあります。「『緑の同盟』に関する日米の協力により、日本国内およびグアムにおいて整備中の米国の基地に再生可能エネルギーの技術を導入する方法を、HNSの一構成要素とすることを含め、検討することになる」。この「緑の同盟」の要素を今後の交渉にどう取り込む考えですか。

 「グリーンテクノロジーを検討することは間違いない。環境に優しく、エネルギーコストを削減するのに役立つ。協議の要素として取り込むことを昨日と今日、日本側と話し合ったところだ」

 ――この交渉は、地域の他の国々と米国との関係に、どのような影響を与えるのでしょう。

 「日本との交渉をうまくまとめ、同盟の価値を再確認することは、米国の地域安全保障戦略の重要な要素だ。地域諸国に対して、米日同盟は強固であり、今後もそうあり続けるというシグナルを送ることになる。それは米日双方にとっての利益だ」