菅首相の足を引っ張る[女房役]仙谷官房長官の迷走を止めない限り政権はアウトだ (日刊ゲンダイ2010/7/28)

「大連立」「政策コンテスト」のナンセンス

菅首相の女房役・仙谷官房長官のデタラメぶり、稚拙さが日を追うごとに浮き彫りになっている。国家戦略室を有名無実化し、財務省主導の「概算要求基準」には民主党内から落胆の声。さらに、「大連立」や「政策コンテスト」と、仙谷が次から次へ打ち上げる花火にもブーイングの嵐だ。
いったい何を考えているのか。自民党との大連立に仙谷が前向きな姿勢を示したことには、27日、まず野党が猛反発した。「大連立は民主主義の冒(ぼう)(とく)」(自民党・大島幹事長)、「荒唐無稽に等しい」(公明党・山口代表)。選挙中に「みんな」との連立を言い出し、ひんしゅくを買った枝野幹事長さえも、「国民新党を別にして、どの党が相手であっても連立を考える段階ではない」と否定的だった。
もちろん、なんらかの形で多数派形成を図らなければ、来年度予算はおろか、法案一本すら成立しない。しかし、なぜこのタイミングなのか。
「30日からの臨時国会は予算委員会の質疑もある。野党は菅内閣のボロ発言を引き出そうと対決姿勢を強めている。

今後、『大連立』の可能性があるとしても、今は言ってもムダ。『あちこちにラブコールすることは民主党の将来のためにならない』と国民新党の下地さんが言っていましたが、その通りです」(菅グループの議員) 特別枠として新設する予算の配分を、「国民に開かれた場で『政策コンテスト』をして決める」という話には、1年生議員でさえ呆れている。
「予算を国民に決めてもらうなら、プロの政治家なんて必要ないじゃないですか。政府の責任放棄です」
民主党内からも不平不満の声が上がっているのだ。
政治評論家の浅川博忠氏はこう苦言を呈する。
「菅首相が『煙たい人』と言いつつ官房長官に選んだだけあって、仙谷さんは手練手管にたけている。参院選の敗北で菅さんが集中的に批判を受けないよう、いろんな発言や政策で意図的に目先を変えようとしているように見えます。しかし、やりすぎは『策士、策に溺れる』で逆効果です」
もっとも、仙谷がメチャクチャなのは、小沢への意趣返ししか頭にないからだとの見方もある。
「仙谷さんは『小沢さんが出て行きたいなら、出て行ったらいい』という考え方。小沢嫌いだから小沢が進めた政策とことごとく反対のことをやりたがる。『公開』とか『透明性』にこだわるのもそう。結果として政府が迷走してしまうのです」(鳩山グループの議員)
鳩山政権時代に平野官房長官が“無能”とバカにされていた。仙谷は学習しなかったのだろうか。