「隠れ報酬」の元凶は経産省の「渡りの帝王」 (日刊ゲンダイ2010/7/28)

天下り会長にコッソリ年1300万円

◇掛け持ち財団からの高収入がバレたらマズイと…
表向きは「無報酬」ながら、裏ではコッソリ。週3日勤務でゴッソリ年間1300万円――。また、天下り法人のデタラメが発覚だ。経産省所管の財団法人「石油開発情報センター」が、「非常勤の会長は無報酬」と公表しながら、実際には役員報酬とは別の「謝金」名目で、年間約1300万円の“隠れ報酬”を支払っていた。
センターは1992年の設立以来、隠れ報酬システムを継承してきた。歴代会長ポストは旧通産省OBの指定席。経産省からは独立行政法人を介して、年間7億円の補助金も流れている。大マスコミは何を遠慮しているのか、実名を伏せているが、現在の榎元宏明会長(68)をはじめ、歴代会長の名前と旧通産省での最終官職は、別表の通りだ。
この問題を受け、経産省の政務3役会議は「社会常識として通用しない」と、同様のケースがないか実態調査することを決めた。ところが、センターの担当者は悪びれる様子はゼロ。本紙の取材には、こう答えた。
「会長は、産油国から訪問した国家元首や大臣の応対、日本政府や石油開発会社と産油国との仲介など、『謝金』に見合った仕事をこなしています。通産OBが会長職を歴任してきたのは、石油などの探鉱開発の豊富な知識と経験を期待したものです」
ならば、堂々と報酬を渡せばいいはず。回りくどい裏報酬システムが継続してきたのは、初代会長の故・橋本利一氏の経歴と無関係ではない。
「省内ナンバー2の審議官に上りつめた橋本氏は、79年の退官後に石油公団総裁などを歴任してきた経産省版“渡りの帝王”。破綻前の長銀に顧問として天下ったこともあります。個室付き、専用車付き、海外出張付きで年間1億円超の諸経費が破綻後に問題視されました。センターの会長就任と同時期には、旧通産省所管の財団法人『新エネルギー財団』の会長や『資源・環境観測解析センター』の理事長などを兼務し、多額の報酬を手にしていた。その上、石油開発情報センターからも高額報酬をもらっていることが知れたら批判されると考えて、『謝金』などという名目をつくったのでしょう。その悪習が、脈々と受け継がれてきたのです」(経産省関係者)

今後の対応について、センターの担当者は「私どもにすれば普通の措置でしたが、社会常識から見れば、天下りと結び付けて報酬を隠しているように映るのでしょう。その点は真摯に受け止め、ルールを改正している最中です」と答えた。
自民党政権時代には許されたデタラメをもっと白日の下にさらせば、民主党政権の支持率は上がるのだが……

◇歴代会長と旧通産省での最終官職
歴代会長
就任期間
最終官職
退官時期
橋本利一
92.11~00.6
通産審議官
1979年8月
石井賢吾
00.7~05.6
中企庁長官
1985年6月
吉田文毅
05.7~09.3
特許庁長官
1990年6月
榎元宏明
09.4~現職
関東通産局長
1993年6月