●菅首相、一時、退陣も選択肢 参院選責任で示唆

(共同通信 2010/07/30 21:26) http://p.tl/rUNz

 菅直人首相は30日の記者会見で、民主党の参院選大敗を受けて一時、退陣も選択肢として検討したことを示唆した。責任を取って退陣しなかったことに関し「私もいろいろ考えた」と述べた。

 その上で「民主党政権が誕生してまだ9カ月の段階で責任を投げ出したときに、次の世代にきちんと政権を受け渡しきれるかということも当然考えなければならないと思った」と説明。

 続投に関して「大変な批判をいただくことは予想していたが、しっかりした政権を何年間かは続けた次の段階で、次の世代が受け継いでくれればありがたい」と長期政権への意欲もにじませた。



●民主代表選、支持明言避ける「小鳩」系閣僚

(読売新聞 2010年7月30日21時46分) http://p.tl/B_ki


 9月の民主党代表選は、党内のグループ対決の様相を強めている。


 前原国土交通相は30日の閣議後の記者会見で、「党を支えるカルチャーを作らないと与党として大成しない」と述べ、首相支持を改めて表明。前原グループは、閣内に仙谷官房長官、党執行部に枝野幹事長を擁し、首相支持でまとまる。

 野田財務相も「トップがころころ代わることは不安定につながる」と強調。野田グループの蓮舫行政刷新相も「内閣の一員として(首相支持は)当然」と明言した。グループに属さない岡田外相、玄葉公務員改革相、長妻厚生労働相も首相支持を表明している。

 一方、小沢一郎前幹事長に近い中井国家公安委員長は「臨時国会や予算の概算要求を終えた後、自分なりに考えてみたい」と語るにとどめ、鳩山前首相を支持するグループの小沢鋭仁環境相は、「閣僚の立場をわきまえつつ、いろいろ思案したい」と明言を避けた。



●臨時国会:菅政権、「ねじれ」の試練に直面

(毎日新聞 2010年7月30日22時03分) http://p.tl/Ed97  


 参院選で大敗した菅政権は30日に召集された臨時国会で、参院で与野党が逆転するねじれ国会の試練に直面する。菅直人首相は政策ごとに協力相手を切り替える部分連合で苦境を乗り切りたい考えだが、内閣支持率が続落し、民主党内での求心力も弱まっている首相に対し、野党側は当面、様子見の構え。参院議院運営委員長に自民党の鈴木政二氏が就くなど、野党側は議事運営のカギを握るポストもおさえており、国会運営の主導権は野党に移る。政府・与党の選択肢は狭まる一方だ。


 ◇部分連合 野党は様子見

 菅首相が30日の会見で国会議員の定数削減を提起したのは、将来の部分連合を念頭に、自民党とみんなの党を狙った「誘い水」といえる。自民党は参院選の公約で、衆参両院の国会議員を現在の722人から3年後に650人、6年後に500人に減らす方針を明記。みんなの党の主張は「衆院議員300人(180人減)、参院議員100人(142人減)」とより急進的だ。

 しかし、自民党が土俵に乗れば定数削減に慎重な公明党や、反対派の共産、社民両党との野党共闘に亀裂が入るのは確実だ。政府高官は「この指とまれ方式で政策ごとにやる」と強調するが、野党側は警戒感を隠さない。自民党の谷垣禎一総裁は30日、首相発言について「議員の身分に関することなので、議会制度協議会か何かで議論を進めるのだろう」と素っ気なく語った。

 一方、選挙制度改革を定数削減の前提条件に掲げる公明党は敏感に反応した。山口那津男代表は「参院選で『第三極』が票をあれだけ受け止めたのは、多様な意見を反映させろという国民のメッセージだ」と不快感を示した。

 首相は会見で「野党も国民のことを考えて行動すると思うので、合意できる部分は必ず生まれる」と強調した。だが、隔たりは大きい。公務員制度改革では自民、みんな両党が国と地方の公務員の総人件費2割削減を目指すのに対し、民主党は国家公務員だけが対象。消費税でも自民党は民主党にマニフェスト(政権公約)の誤りを認めるよう迫っている。

 子ども手当を巡っても、先の通常国会で法案に賛成した公明党は現行の1万3000円からの上乗せには反対で、保育サービス充実など現物給付への切り替えを求めている。社民党も同じ立場。郵政民営化を見直す郵政改革法案には自民、公明、みんなの党などが反対しており、現時点では成立の見通しが立っていない。【中田卓二】

 

◇懲罰委員会を除く16委で与党過半数割れ

 衆院で多数を確保する民主党だが、参院の与野党逆転の現実は政権全体にのしかかる。参院の全17常任委員会のうち、民主党は参院選前と同数の9委員長ポストを維持したが、懲罰委員会を除く16委員会で与党過半数割れとなった。

 議事運営を差配する議院運営委員会は与党12委員、野党13委員、予算審議の舞台となる予算委も与党20委員、野党25委員という議席配分だ。委員長ポストを獲得した委員会でも野党側が欠席戦術に出れば定足数に満たず委員会すら開けず、参院選前の通常国会で与党側が連発した強行採決は事実上、困難になる。

 こうした状況を踏まえ、与党側は最初から低姿勢だ。民主党の樽床伸二国対委員長は30日の代議士会で「参院のためにも、衆院の国会運営もこれまで以上にていねいにやっていかなければいけない」と衆院議員らにクギを刺した。

 民主党は自民党との事前協議で、議長と同じ第1会派が確保することが慣例となっている議運委員長ポストを第2会派の自民党に譲った。しかし、参院議長選挙では自民党は白票を投じ、民主党の西岡武夫氏に投票しなかった。それでも民主党は、その後の副議長選挙で自民党の尾辻秀久氏に投票。野党に遠慮した低姿勢が際だった。

 みんなの党も同党の江口克彦氏に投票し、民主党との距離をとってみせた。一方、公明党は議長選で西岡氏に投票したとみられ、民主党は野党側の思惑に振り回されている。野党各党が政権を追い込むことで一致すれば、国会運営はたちまち行き詰まる状況に変わりはない。【高山祐】


 ◇首相会見 にじむ苦悩
 「ねじれ国会」初日の30日、菅首相は記者会見に臨み、「今後、菅政権で取り組む方向について話を聞いてもらいたい」と国民に語りかけた。しかし、具体的に明示した政策は衆参両院の議員定数削減だけにとどまり、参院選で訴えた消費税引き上げの持論は事実上封印。「国難回避」のためとして野党に政策協議を呼びかけはしたものの、9月の民主党代表選を乗り切るまでは強気の政権運営に踏み出せない苦悩がにじんだ。

 「私が申し上げたことが唐突に受け止められたと反省しているわけですから、代表選でそのこと自体を約束にする扱いは考えていない」。菅首相は会見で、消費税を含む税制の抜本改革を代表選で改めて提起するかを問われ、否定した。

 29日の党両院議員総会では、小沢一郎前幹事長に近い議員を中心に消費税発言への批判が噴出。ここで再び「菅カラー」を強調すれば、小沢グループをさらに刺激しかねない。財政再建に取り組む姿勢こそ崩さなかったが、社会保障や消費税問題の与野党協議について「まずは党の考え方をまとめることをお願いし、そのうえで超党派の話し合いの場が可能か検討していきたい」と党内調整を優先させる考えを示した。

 小沢氏の処遇を問われても「代表選後のことまでこうしたい、ああしたいというのは早すぎる」と言及を避け、小沢氏との距離感を測りかねていることもうかがわせた。

 政策協議を呼びかけられた野党側も、民主党代表選の行方を見極める構え。自民党の谷垣総裁は30日、協議に応じる可能性を否定しない一方で「政府・与党の考え方がある程度、プロセスを経て出てくることが必要だ」と語った。【平田崇浩】



●代表選は9月14日に 小沢グループの動き焦点
(毎日新聞 2010年7月30日19時55分)http://p.tl/rrBm


第175回臨時国会開会式が終了し、立ち上がる小沢一郎民主党前幹事長=国会内で2010年7月30日、藤井太郎撮影 民主党は30日、菅直人首相(党代表)の任期満了に伴う党代表選を9月14日に実施する方針を固めた。来月2日の常任幹事会と代表選管理委員会で正式決定する。告示日は9月1日。党員・サポーターが参加する代表選は02年以来。菅首相は29日の衆参両院議員総会で出馬の意向を表明しており、小沢一郎前幹事長のグループなど対立候補擁立の動きが今後の焦点だ。

 代表選では、国会議員(衆参413人)票は1人2ポイント(計826ポイント)、地方議員票は計100ポイントをドント式で各候補に割り振る。今回約35万人が登録している党員・サポーター票は衆院の300小選挙区ごとに最多得票候補に1ポイントを与える。国会議員150人分の重みがある党員・サポーター票の動向も焦点になる。【影山哲也】