野村夫人、落合夫人…「亭主尻に敷く女房」は強運は通り相場だが

(日刊ゲンダイ゙2010/8/02)

菅首相の妻、伸子夫人が出した本「あなたが総理になって、いったい日本の何が変わるの」が売れているらしい。
菅首相との出会いや2人の息子の不登校のエピソードのほか、夫への辛辣な文言も盛り込まれている。首相就任を「いまは政界全体が小粒な人物が多いので、その中から選ぶと、こうなるのかもしれない」と厳しく評価。消費税増税に「見通しが甘かったとの批判はもっとも」と苦言を呈し、「一番よくないところは、相手が年上であろうが、みんなのいるところで怒る」ことと叱りつけている。
亭主が何もできないのに、女房の本が話題になるのも変だが、これまでも目立った総理夫人はいた。海部夫人、鳩山夫人など。が、伸子夫人は夫を尻に敷くタイプだという。
野球界では野村克也の沙知代夫人や落合博満の信子夫人も、超のつくでしゃばり妻。男は女房の尻に敷かれたほうが出世するというが、本当か。
「妻が悪妻ぶりを発揮するほど周囲が夫に同情し、その結果、自分の組織をきっちりつくれるというメリットがあります。これは野村氏や落合氏、そして戦国時代の武将にも共通することです」 こう解説するのは歴史作家の加来耕三氏だ。「ただし、でしゃばり妻は2通りに分類されます。後先考えずにしゃべるタイプと、しっかり計算をしているタイプ。前者は野村、落合両氏の奥さん。後者は豊臣秀吉の妻おねや山内一豊の妻千代です。おねは秀吉の主君信長に“夫の愚かな浮気に困っている”と相談しましたが、これは夫婦そろって信長を頼りにしているという意思表示。信長の歓心を買うことができました。伸子夫人も同じ。“うちの亭主はおっちょこちょいで言葉が足りないけど、いい人です”と夫を下げて世間の同情を買う作戦です」
ただし、こうした作戦はヘタをすると、夫をダメにする危険性をはらんでいる。
「盤石な家臣団を築き上げた秀吉と違って、菅首相は強い組織も持っていない。なのに奥さんが本やトークで首相を落とせば、そのまま価値が下がりっぱなしになりかねません。最近、“次の選挙は伸子夫人が出たほうがいい”という声が聞かれるのはその兆候でしょうか」(加来耕三氏)
本が売れるほど、夫の支持率は下がっていく?