参院予算委論戦の焦点(共同通信2010/08/04 20:49) http://bit.ly/dhpUpu

 


▽参院選受け止めは―林氏

 ▽恥じない行動取る―首相

 林芳正氏(自民、山口)

 【参院選総括】

 林氏 参院選の結果をどう受け止めるか。

 菅直人首相 今回の結果が出た時、私なりに考えた。首相の評価は歴史が決めるものであり、歴史に恥じない行動を取りたいと考えた。今回の結果はわが党にとっては厳しい。ただ大変厳しい財政状況を招いており、回避することは政治家としてはできない。

 【財政健全化】

 林氏 財政再建の決意が伝わってこない。

 首相 財政健全化は、誰が首相でもどの党が政権を取っても避けて通れない課題だ。財政健全化のために不退転の決意で臨む。

 林氏 財政再建に迷惑をかけないように財源をきちんと生み出した上でないと、民主党の政権公約(マニフェスト)は実行できない。

 首相 経済成長、財政健全化、社会保障の三つの改革に同時並行的に取り組む。今回の予算では雇用と成長に重点を置く。雇用が拡大し、成長すればデフレからの脱却にも近づく。経済成長から財政再建につなげることを考えている。

 世耕弘成氏(自民、和歌山)=関連質問

 【国家戦略局】

 世耕氏 政治主導確立関連法案は国家戦略局が予算編成の基本方針の企画立案や総合調整を行うことになっている。そこは修正しないのか。

 首相 法案がこの形のまま国会を通るのか、他党との議論を含めて修正が必要になるのかは、国会の議論で決まってくる。この法案の通り賛成していただくことになれば当然、この法案の通り実行していく。

 【国会運営】

 世耕氏 通常国会で郵政改革法案を衆院で強行採決した。

 首相 短時間での議論は十分ではなかった。与党として反省すべきところがあれば、反省しなければならない。

 世耕氏 今後、郵政改革法案の強行採決をしないと約束できるか。

 首相 首相という立場で約束する、しないという立場ではない。現在の参院の状況ではできない。国会の中で議論してもらう。


 山本一太氏(自民、群馬)=関連質問

 【朝鮮学校の無償化】

 山本氏 朝鮮学校を高校無償化の対象に含めるのは不適切だ。

 川端達夫文部科学相 現在、専門家会議で朝鮮学校の教科や授業の中身が日本の高校の課程に類するとみなせるかどうか議論してもらっている。8月中をめどに議論をまとめ結論を出したい。

 【拉致問題】

 山本氏 金賢姫元北朝鮮工作員のヘリコプターでの遊覧は準国賓級の待遇だ。違和感を持つ。

 中井洽拉致問題担当相 彼女からこれからどこへも旅行できないから日本のどこかを見たいとの希望があった。私の判断でヘリコプターで移送した。けしからんという指摘は甘んじて受けるが、準国賓待遇ということはなかった。

 【日韓併合】

 山本氏 日韓併合100年で首相談話を出すのか。変な談話なら出さないでもらいたい。

 首相 韓国は最も重要な隣国で、日韓関係の強化は両国にとって大変有益だ。日韓関係は現在良好な状態にある。談話については、慎重に検討している。

 【普天間問題】

 山本氏 米軍普天間飛行場移設問題は日本外交の喫緊の課題だ。

 首相 日米合意の実現に最大限の努力をすると同時に、沖縄の負担軽減に全力を挙げて取り組んでいきたい。

 山本氏 普天間飛行場の固定化という最悪のシナリオに向かっている。

 岡田克也外相 普天間の基地が固定化されるのはあってはならないのでしっかりと日米間で協議したい。しかし沖縄の理解を得なければ前に進まない。

 首相 日米間だけで取り組みが進んでも、沖縄の理解が得られなければ実際に物事は進まない。理解をいただけるよう、同時並行的に全力を挙げて取り組まなくてはならない。


西田昌司氏(自民、京都)=関連質問

 【政治とカネ】

 西田氏 鳩山由紀夫前首相と小沢一郎前民主党幹事長の「政治とカネ」問題に国民は納得していない。

 首相 (辞任という)けじめをつけたことで状況が進展した。政治家として最も大きな決断をした。政治的に大変大きなけじめだったということは多くの国民の理解を得られていると思う。

 【公選法違反事件】

 西田氏 公選法違反事件で、後藤英友民主党衆院議員の出納責任者の有罪が確定した。辞職勧告しないのか。

 首相 出処進退は本人の考えによるべきだ。本人の判断を待ちたい。

 山田俊男氏(自民、比例)=関連質問

 【戸別所得補償制度】

 山田氏 来年度以降、差額を補償する財源は確保できるか。

 山田正彦農相 米作りは恒常的に赤字で、補償しなければいけない。きちんと補償する予算措置は今回、取った。今後も予算は確保してもらう。

 松下新平氏(自民、宮崎)=関連質問

 【口蹄疫問題】

 松下氏 赤松広隆前農相が外遊している間に対応していればこんなことにはならなかった。

 農相 国に初動ミスはなかった。私が現地対策本部長として出かけていった時には一般車両の消毒すらしておらず県の対応は遅れていた。これからは口蹄疫の危機管理は県に任せるのではなく国が直接対応する。


▽目指すべき社会像は―桜井氏

 ▽安心と活力ある社会―首相

 桜井充氏(民主党・新緑風会、宮城)

 【目指す社会像】

 桜井氏 目指すべき社会像は何か。

 首相 負担はある程度必要だが、誰もが安心でき活力のある社会を目指す方向で国民の理解を得たい。

 桜井氏 医療や介護の現場は慢性的な人手不足であり、本来であればもっと雇用を確保できる。

 首相 医療や介護分野は人手不足だ。ある程度の財政出動ができれば、仕事のない人が仕事に就くことができ、社会保障の充実につながる。そこにお金を優先的に充てることは経済成長にもつながる。

 【消費税】

 桜井氏 今、財政再建を本格的に実施できる状態か。

 野田佳彦財務相 不断の努力で歳出と歳入を見直す。一方で景気をよくすることで税金を払える企業や個人が増える。

 桜井氏 1997年に消費税率を5%にした時は景気が落ち込み税収が下がった。今の段階で上げることが財政再建に資するのか。

 財務相 当時はアジア通貨危機、山一証券や北海道拓殖銀行の破綻など急激な経済変動があって税収は落ち込んだ。(しかし)消費税収はその後9兆~10兆円台と安定的に推移している。