外交機密費、約20億円を官房機密費に「上納」


(人民日報 2001年01月21日14:21北京時間)   http://bit.ly/bzYfrw


外務省の元要人外国訪問支援室長(55)=現在は官房付=の外交機密費(外務省報償費)流用疑惑に絡んで、年間55億7000万円にのぼる外交機密費の約3分の1が、現在も首相官邸の扱う官房機密費(内閣官房報償費)に「上納」されていることが20日、関係者の話で明らかになった。国会などで批判を受けてきた官房機密費の総額を表面的に抑えるため、外務省予算に計上されている外交機密費のうち約20億円を官房機密費に転用しているという。元室長の疑惑の背景に、首相官邸と外務省ぐるみの不透明な予算操作の実態が浮かびあがった。

1992年度の当初予算以降、外交機密費は毎年、55億7000万円、官房機密費は約16億円が計上されている。

「上納」については、89年に内閣が作成した内部文書に「官房長官が取り扱う報償費は予算上、内閣官房と外務省に計上されており、形式的には外務省計上分を内閣官房に交付する形をとる」との記載があり、そうした仕組みがあったことが判明していた。複数の内閣官房経験者の証言によると、この慣行は現在も続いており、主に外交関係の費用に充てているという。

疑惑の元室長は、首相らの外遊の際の手続き面でのサポートを担当。その際の経費は外交機密費でなく、官房機密費から支出することになっていた。

元官邸関係者は「官邸は外務省から『これだけ必要』と言われれば、もとは外務省のカネという意識があるので、そのまま渡す」と語っている。巨額の機密費をめぐるあいまいな位置づけが、元室長の疑惑の温床となっていたとみられる。

官房機密費は、官房長官の裁量で自由に使える。現金の出し入れや会計処理は、首席内閣参事官(現在は内閣総務官)や官邸の事務局が担当している。

外務省が23日にも公表する調査結果では、元室長の疑惑を「個人の犯罪」とし、外交機密費と官房機密費の不透明なかかわりには触れない見通し。

「朝日新聞」2001年1月21日