●民主安堵、代表選に影響も=勢いそがれる自民-長野知事選

(時事ドットコム 2010/08/09-00:50) http://p.tl/t-lk


 参院選後初の大型地方選挙となった8日の長野県知事選で、民主党などの推薦候補が勝利し、同党内には安堵(あんど)が広がった。これを機に攻勢に転じ、政権の安定化につなげたい考え。選挙結果は菅直人首相が再選を目指す9月の党代表選に影響を与える可能性もある。
 民主党の安住淳選対委員長は8日夜、都内で「地方選とはいえ、参院選後初の大型選挙で競り勝てたのは大きい。党の再生の第一歩になる」と述べ、喜びを素直に表現した。安住氏は首相に勝利を電話で報告、首相は「良かった」と語った。
 選挙戦で同党は枝野幸男幹事長ら幹部のほか、知名度のある蓮舫行政刷新担当相や前原誠司国土交通相ら閣僚を続々と投入。政党色を前面に出し、地方の知事選としては異例の総力戦を展開した。先の臨時国会は「ねじれ」下で守勢を強いられ、参院選に続く敗北となれば、首相の政権運営への打撃は避けらないからだ。
 参院選大敗を受けて、党内では執行部批判が噴出したが、今回の勝利でその風当たりが一時的に弱まりそうだ。執行部の一人は「(環境は)随分違ってくる」と指摘した。
 ただ、小沢一郎前幹事長に近い議員は「代表選と知事選は無関係だ」とけん制、首相の対抗馬擁立への動きを強める考えを強調した。
 一方、知事選を「参院選の勝利を来春の統一地方選、次期衆院選につなげる戦い」と位置付けていた自民党は勢いをそがれた形だ。大島理森幹事長は「惜敗したことは残念だ。この結果を謙虚に受け止め、統一地方選に向けて万全を期す」とのコメントを発表した。
 同党の戦いぶりは「県民党で戦いたい」との候補者の要望で政党色を薄めていたものの、実態は全面支援に近かった。人気がある小泉進次郎衆院議員や小池百合子元防衛相らが現地入りし、てこ入れを図ったが、及ばなかった。



●政党色出す戦略奏効 長野知事に阿部氏

(asahi.com 2010年8月9日1時3分) http://p.tl/dQ3F


 午前10時半すぎ、テレビで阿部氏当選確実の報が伝えられると、支持者らで埋まった長野市内の会場は大きな拍手に包まれた。イメージカラーのオレンジ色のTシャツを着た応援部隊とともに阿部氏が会場に登場すると興奮は最高潮に達した。

 樽川通子後援会長は「信州に新しい時代が来た。信州の新しい夜明けです」と力強く宣言。続いてマイクを握った阿部氏は「県民の皆様方の暮らしを守る県民主権の長野を、全力で作っていく。県民の声が形になる、新しい県政を作っていく」と決意を述べた。

 阿部氏を推薦した民主党は、大敗を喫した参院選後、初の大型選挙の勝利で浮揚のきっかけをつかもうと、党を挙げて支援。序盤から、蓮舫行政刷新相や、前原誠司国土交通相、原口一博総務相ら知名度の高い国会議員を次々と投入し、政党色を前面に打ち出した選挙戦を展開した。

 支持者の一部には、政党色を出すことへの懸念もあった。これに対して、阿部氏は「決して政党の言いなりにはならない」「県民の皆様の立場に立って、政府とも戦う覚悟」と、特定の政党には偏らない姿勢を強調した。

 参院選で、民主の2候補が獲得した得票は50万票。選挙戦中盤からは他陣営の激しい追い上げを受けたが、結果的には民主支持層を取り込み、初当選につなげた。

 選挙戦を通じて、一貫してPRしてきたのは、49歳という若さ。さらに県副知事や横浜市副市長など、26年間、地方行政に携わってきた経験の豊富さもアピールした。県出身を強調する他陣営に対しては「利権と縁のない清新さ」「しがらみのなさ」と切り返した。

 内閣府の行政刷新会議で事務局次長として事業仕分けに携わった経験を前面に押し出し、県民参加、完全公開で「『信州型』事業仕分け」を行うことを目玉政策として掲げた。(二階堂友紀)



●長野県知事に阿部氏初当選 自民応援の前副知事ら破る

共同通信 2010/08/09 01:04 http://p.tl/TMWh


任期満了に伴う長野県知事選は8日投開票の結果、田中康夫知事時代の副知事だった無所属新人阿部守一氏(49)=民主、社民、国民新推薦=が、引退する村井仁知事を副知事として支え自民党が全面支援する腰原愛正氏(63)ら無所属新人2人を破り、初当選を果たした。阿部氏と腰原氏の得票差は約5千票の大激戦だった。

 投票率は52・70%。参院選から1カ月足らずだったことなどから前回を13・28ポイント下回り、同県知事選の過去最低だった1992年の54・05%を更新した。

 参院選後初めての大型地方選となり、民主党は参院選大敗からの反転攻勢のきっかけにしようと幹部や閣僚を次々と応援に投入する総力戦を展開しただけに、面目を保った格好。

 阿部氏は8日夜、支持者を前に「県民の声にしっかり耳を傾けながら県政運営していきたい」と勝利宣言した。

 阿部氏は、政府の行政刷新会議の事務局次長を務めた経験から「信州型事業仕分けを行う」と改革姿勢を強調。蓮舫行政刷新担当相や枝野幸男幹事長らが応援に入り、政権との強いつながりを前面に出して支持を広げた。