狙いは幹事長か都知事か 海江田万里 民主代表選“出馬宣言”の本気度


 (日刊ゲンダイ 2010/8/10)

小沢はどう判断するか

海江田万里(61)は総理になる覚悟を決めたのか。先週末、小沢一郎前幹事長に近い議員と会って、9月の民主党代表選に出馬する意向を伝えたというのだ。
「海江田氏は鳩山グループの一員。党内最大勢力である小沢グループ(約150人)と、約50人の鳩山グループが全面的に支援すれば、すでに立候補を表明している菅首相を数の上で圧倒します。海江田氏は6月の代表選でも小沢氏周辺から出馬を打診されましたが、辞退。今回、出るなら本気で勝ちにいく。当時と比べて党内の“反菅”勢力が増えている今回は、出れば確実にイケると踏んだのでしょう。反菅勢力が海江田氏で一本化すれば、圧勝です」(民主党関係者)
ところが、コトはそう単純ではない。海江田は衆院5期のベテランだが、選挙に弱く、郵政選挙では落選を経験。どうも影が薄いし、閣僚経験もないため、鳩山グループの議員からも「時期尚早」の声が上がる。
もっとも、海江田自身もどこまで本気で総理の椅子を狙っているかは分からない。海江田の“本命”は来春の都知事選だとみる向きもある。今から名前と顔を売っておくためにも、代表選に出馬しておいて損はないというわけだ。
民主党の党内事情が影響しているとみるのは、政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏だ。

「中堅議員の間では、世代交代を求める機運が高まっています。その一環で、海江田氏の出馬が現実味を帯びてきた。世代といっても年齢の問題ではなく、ポスト菅は、今さら代表経験者の岡田氏や前原氏じゃないだろうという話です。6月の代表選では、一般的には無名だった樽床伸二氏が120票を獲得し、その後の人事では国対委員長に抜擢されました。この“樽床効果”でガ然、やる気になった中堅議員は多い。菅首相と代表選で戦って2位になれば、幹事長への処遇もある。これが世代交代の布石になる。ただ、彼らが“反菅”ですんなりまとまるとは思えませんね。今はまだ、勉強会を始めたりして、それぞれ観測気球を上げている状況です」
鳩山グループ、小沢グループも決して一枚岩ではなく、流動的だ。仙谷官房長官と枝野幹事長を降ろすことを条件に菅続投を認めようという“穏健派”は少なくないし、何より小沢自身の出馬を望む声も根強い。
「すべては小沢氏の出方次第です。注目は、8月19日に軽井沢で行われる鳩山グループの研修会。今年は小沢グループの議員も合流しますが、小沢氏本人の参加も噂されている。そこで何を語るのか。また、8月下旬には小沢一郎政治塾も開催されます。最終日には小沢氏が講演する。代表選について、立場を明らかにするとしたら、このいずれかの場でしょう」(鈴木哲夫氏=前出)
自ら立つのか、意中の人物がいるのか。小沢の意向が公になった瞬間、代表選は一気に動く。