八ツ場ダムに続き沖縄も 前原国交相の重大背信

(日刊ゲンダイ2010/8/10)

結局、コンクリート派の正体バクロ

民主党政権の裏切りがまたまた発覚だ。前原国交相が八ツ場ダムの本体外工事を容認したのに続き、沖縄市の泡瀬干潟の埋め立て事業でも凍結していた工事の再開を決めたのである。
なぜか、新聞はほとんど報じていないが、これは絶句するような背信だ。

問題の泡瀬干潟は嘉手納基地がある沖縄市の東海岸に位置する沖縄最大の干潟で、美しいサンゴ礁も広がる生物の宝庫だ。国は2000年、この干潟を埋め立て、ホテルや公共施設を県と市がつくる東部海浜開発を承認する。事業費は650億円。ホテルの需要予測のずさんさが発覚し凍結された時期もあったが、計画はゴリ押しされ、干潟やサンゴは絶滅の危機にひんしたため、反対運動も激化した。

しかも、である。昨年10月、高裁が問題の干潟埋め立てには経済合理性がないとして、「公金支出差し止め」の判決も出している。前原も当時は工事の中断を表明。「経済合理性を厳しくチェックする」と否定的な立場だったのに、今月3日、東門美津子沖縄市長から計画の見直し案を説明されると豹変(ひょうへん)。工事再開方針に転じたのだ。 市の計画は1000億円の事業費に対して、1600億円の経済効果があるとしていて、前原は「堅めの予想がされている」とか評価したが、冗談じゃない。

「埋め立て事業のメーンはホテル誘致などのリゾート開発ですが、沖縄の売りは夕日が沈む西海岸。だから、リゾートホテルは西側に集中していて、東海岸で成功したリゾート事業は少ない。民間企業誘致やスポーツ施設なども計画していますが、隣に完成した埋め立て地もガラガラで、スポーツ施設も市内に既にある。それなのに、なぜ、新たな埋め立て地をつくり、自然を壊すのか。沖縄市の中心街はシャッター通りで、中心市街地の活性化に税金投入した方が経済合理性にかなっています」(ジャーナリスト・横田一氏)

民主党は政策集インデックス2009年で〈泡瀬干潟干拓事業など環境負荷の大きい公共事業は、再評価による見直しや中止を徹底させます〉〈特に干潟とサンゴ礁については、その周辺も含めた保全を図り、日本に残された貴重な自然・生態系を保全します〉と謳(うた)っていた。ひどい公約違反だ。

前原といえば、普天間移設問題でも、砂利採取場を保有する地元名護市の建設業者、「東開発」の仲泊弘次会長らと密談しているところを琉球新報にスッパ抜かれた。結局、コンクリート派の沖縄族議員ではないか。国民をバカにした話だ。