●菅首相談話と過去の談話の比較

(時事ドットコム 2010/08/10-20:55)   http://bit.ly/a0IYVK


▽細川護煕首相発言
 1993年11月6日 慶州での日韓首脳会談
 わが国の植民地支配によって、朝鮮半島の人々が母国語教育の機会を奪われたり、姓名を日本式に改名させられたり、従軍慰安婦、徴用など耐え難い苦しみと悲しみを経験されたことに、加害者として心から反省し、深く陳謝したい。
▽村山富市首相談話
 1995年8月15日 戦後50年
 わが国は遠くない過去の一時期、国策を誤り、植民地支配と侵略によって多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた。疑うべくもない歴史の事実を謙虚に受け止め、あらためて痛切な反省の意を表し、心からおわびの気持ちを表明する。
▽日韓共同宣言(小渕恵三首相と金大中大統領)
 1998年10月8日 金氏訪日
 小渕首相は、わが国が過去の一時期、韓国国民に対し植民地支配により多大の損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのおわびを述べた。
▽小泉純一郎首相談話
 2005年8月15日 戦後60年
 わが国は、かつて植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた。歴史の事実を謙虚に受け止め、改めて痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明する。
▽菅首相談話
 2010年8月10日 日韓併合100年
(新しい点)
 韓国の人々は、その意に反して行われた植民地支配によって、国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷つけられた。
 日本政府が保管している朝鮮王朝儀軌等の貴重な図書について、近くお渡ししたい。
 将来の東アジア共同体の構築をも念頭に置いた地域の平和と安定のために協力してリーダーシップを発揮する。
(過去の談話を踏襲した点)
 植民地支配がもたらした多大の損害と苦痛に対し、改めて痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明する。未来志向の日韓関係を構築していく。




●首相記者会見要旨
 (時事ドットコム 2010/08/10-19:46)  http://bit.ly/cvu6BA


菅直人首相が10日に行った記者会見の要旨は次の通り。

 【冒頭発言】
 就任後初の予算委員会を含む臨時国会が終了した。臨時国会で新しい民主主義の可能性を感じた。国民のいろいろな意見を反映した参加型の民主主義が、ねじれ国会という天の配剤の中で完成しつつあるのではないか。
 広島、長崎への原爆投下から65年の式典に、潘基文国連事務総長やルース米大使ら核保有国を含む国々から代表が参加した。核廃絶に向けての大きな動きがさらに前進したと感じた。
 日韓併合から100年を迎えて私の談話を発表した。李明博大統領から電話会談で、真心のこもった談話だと大変評価をいただいた。
 【国会】
 -臨時国会で野党との協力についてどのような感触を得たか。
 いろいろと論戦があったが、その中でも歳費返納の法案などは成立した。しっかり議論をして合意すれば、物事がきちんと決まっていくという一つの事例が進み始めた。丁寧な議論を(して)、与党もそうした姿勢で臨むことで、国民のための政策実現につながる法案は合意できるという感触を強く得た。
 【首相談話】
 -日韓併合100年に当たっての首相談話について、補償問題が再燃するとの声が出ているが。
 今回の談話は、反省すべきところはきちんと反省する、そしてこれからの100年に向かって共に協力して歩んでいこうとの気持ちを込めて作成した。(李大統領からは)同じ価値観を持った隣国が協力することで、東アジア、さらには世界の平和と安定に寄与することができるという話もいただいた。アジア地域のより安定した形が日韓米3カ国によって形成されることは極めて大きな意味がある。そうしたことも展望しながら談話を発表した。
 -日韓併合条約は無効という認識はあるか。談話で文化財について「返還」ではなく、「お渡しする」とした理由は。
 日韓併合条約については、1965年の日韓基本条約で考え方を確認しており、その考え方を踏襲してきた。宮内庁に保管されていた朝鮮王朝時代からの資料はお渡しすることで韓国国民の希望に応えることにした。(請求権など)法律的なものは既に完全に解決済みという立場の中で、「お渡しする」との表現を使った。
 -日韓関係は政治面で遅れている。
 哨戒艦沈没事件も含めて両国関係は政治の分野でも着実にいい形が積み上がってきている。今回の談話がそういうものをより確実にし、将来に向かっての新しい前進につなげていくことになってほしい。
 【マニフェスト】
 -昨年の衆院選マニフェスト(政権公約)は堅持するのか。
 例えば、ガソリン税の暫定税率(廃止)は約束通り実行できなかった。今後もいろいろな制約の中で実行が難しいもの、修正が必要なものについてはきちんと国民に理由を説明し、理解をいただく努力を含め誠実な対応を取っていきたい。
 -民主党代表選で小沢一郎前幹事長に協力を要請する考えはあるか。
 代表選については改めて適当な場で考え方を申し上げたい。きょうはコメントを差し控えたい。



●「意に反した支配」に踏み込む=菅カラー強調に苦心-首相談話
 (時事ドットコム2010/08/10-20:42)  http://bit.ly/cb09CL


菅直人首相が10日発表した日韓併合100年に関する談話は、従来の政権とは異なる「菅カラー」を出すのに苦心した形跡が見て取れる。植民地支配が韓国の人々の「意に反して行われた」と踏み込んだり、韓国の古文書「朝鮮王朝儀軌(ぎき)」の引き渡しを表明した点がそうだ。ただ、韓国側で日本のさらなる「行動」への期待が高まる可能性がある上、国内では補償問題の再燃を懸念する声もあり、波紋が広がりそうだ。
 談話は「韓国の人々は、その意に反して行われた植民地支配によって、国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷つけられた」と明記した。これは、日韓併合は違法で強制されたものとする韓国側にギリギリの配慮を示したものだ。外務省幹部は「必ずしも韓国の主張には同調しないが、首相の率直な気持ちを表すため検討を重ねた」と明かす。
 非自民連立政権を率いた細川護煕首相(当時)は1993年の日韓首脳会談で、植民地支配について「加害者として深く陳謝したい」と発言。菅首相の談話も同じ非自民政権としてトーンは似ているが、「意に反して」とまで言い切ったのは菅政権の特徴。弁護士として在日韓国人の就職差別訴訟にかかわった仙谷由人官房長官や、在任中に談話を検討した鳩山由紀夫前首相の意向も反映されている。
 「反省とおわび」の表明に関しては、菅首相は戦後50年の村山富市首相談話(95年)、同60年の小泉純一郎首相談話(2005年)を踏襲。記者会見では、補償問題は解決済みとの立場を重ねて示した。
 一方、菅首相は談話をリップサービスで終わらせないよう、朝鮮王朝儀軌の事実上の返還という具体的行動で韓国側の期待に応えることにした。当面の返還対象は政府保管の図書としているが、韓国側調査では日本に流出した文化財は美術品なども含め約6万点に上るとされ、返還を求める声が一段と高まることが予想される。
 また、談話で「東アジア共同体」構築に言及したのも新しい点。共同体構想は09年の衆院選マニフェスト(政権公約)に盛られた外交の柱の一つだけに、9月の党代表選を控えて政権交代の原点に返る姿勢をアピールする狙いもあるとみられる。



●首相、政権公約一部見直しを表明 野党の協力期待 

(共同通信 2010/08/10 20:55)  http://bit.ly/9vTzje


政権公約一部見直し
 菅直人首相は10日午後、先の臨時国会閉会を受け、官邸で記者会見した。政権交代を果たした昨年の衆院選での民主党マニフェスト(政権公約)に関し「いろいろな制約の中で実行が難しいもの、修正が必要なものはきちんと説明し理解を得たい」と述べ、一部見直す考えを表明した。

 「ねじれ国会」での対応については「丁寧な議論に与党が臨むことで、国民のための政策実現につながる法案は野党と合意できるとの感触を先の臨時国会で強く受けた」と述べ、野党の協力に重ねて期待感を示した。

 政権公約で「月額2万6千円」と明記した子ども手当は、現行で月額1万3千円にとどまっている。政府、与党は一定金額の上積みに加え、保育所定員増など現物サービスによる代替も検討。農家への戸別所得補償制度の本格実施でも1兆円規模の予算が必要とされ、財源問題を理由に公約修正の可能性を示唆した発言とみられる。

 終戦記念日の靖国神社参拝に関しては「首相在任中にお参りすることはしない」と重ねて言明した。




●マニフェスト、抜本的修正もあり得る…首相
( 読売新聞 2010年8月10日20時02分)  http://bit.ly/bF1jhm


 菅首相は10日の記者会見で、昨年の衆院選で民主党が掲げたマニフェスト(政権公約)について、「いろいろな制約の中で実行が難しいもの、修正が必要になるものは、きちんと国民に理由を説明し、理解いただく努力も含めて誠実な対応を取りたい」と述べた。


 国の厳しい財政事情を踏まえ、主要政策の抜本的な修正もあり得るとの考えを示したものだ。

 民主党内では、小沢一郎前幹事長に近い議員を中心に、マニフェストの実現を求める声が強まっており、首相の発言は代表選に影響を与える可能性がある。

 また、与党が参院で過半数に達しない「ねじれ国会」への対応に関して、首相は、「丁寧なしっかりした議論によって、国会で国民のための政策実現につながる法案は合意ができる」と述べ、法案や政策ごとの「部分連合」を進める考えを改めて強調した。