「日韓併合100年談話」を台無しにした官邸コンビ

(日刊ゲンダイ2010/8/11)

唐突で根回し不足

政府が10日に閣議決定した「首相談話」をめぐるゴタゴタは収まる気配がない。
日韓併合100年の今年に談話を発表するのは悪いことではない。しかし、事前の根回しがなく、あまりに唐突。そのため、自民党議員にツケ入るスキを与えてしまった。
おまけに、菅首相も仙谷官房長官も腹が据わっていない。記者から「なぜ現時点が適切なのか」と質問された仙谷は「まあ、適切というふうに考えたから適切だということですね」と答えていた。こんなだから、松下政経塾出身大臣の玄葉や野田に「聞いてないよ」とイチャモンをつけられ、閣内バラバラを見せつけているのである。
「首相談話は国家ビジョンに関わる問題ですから、普通なら、弱体化した内閣が押し切るものではない。実は金賢姫の来日とのバーターではないかと勘繰る向きもあります。しかし、金賢姫来日の成果はゼロ。揚げ句に今回の談話は、自民党など野党に攻撃材料を与えるだけでなく、与党内からも批判が噴出する始末。民主党には右から左まで、さまざまな価値観の持ち主がいるのだから、こういう問題では党内の根回しが必須です。消費税問題と同じで、そういう基本的なことができていない。菅首相は、もともと外交には強くないといわれますが、またしても政治オンチぶりを露呈してしまいました」(政治評論家・浅川博忠氏)
再選を狙う代表選前の大事な時期に、自ら火種をまいているのだから世話はない。政治評論家の有馬晴海氏もこう言う。
「この問題は代表選に影響してきますよ。95年の村山談話、05年の小泉談話に続く10年の菅談話で歴史に名を残したかったのかもしれませんが、結果的にマイナスが大きすぎた。消費税発言の時もそうでしたが、今回も過剰な自信とプライドの高さに足をすくわれた印象ですね」
またしてもオウンゴール。歴史的談話を自ら汚してしまっては元も子もないだろう。