姑息な再選戦略 菅「軽井沢で夏休み」の本当の狙い  (日刊ゲンダイ2010/8/12)

鳩山との密会偽装し小沢を排除

菅首相の夏休み日程に民主党内がザワザワしている。ゆっくり家族と過ごす場所として、わざわざ「軽井沢」を選んだことが、いろんな憶測を呼んでいるのだ。どうやら、それが菅首相の狙いらしい。反菅勢力を戸惑わせ、9月の代表選を有利に進める戦略だ。菅首相は15日に公務に復帰するまで、軽井沢プリンスに滞在する。首相が公邸や都内のホテル以外で夏休みを過ごすのは、箱根でキャッチボールのパフォーマンスを見せた01年の小泉元首相以来だ。
「武蔵野市の自宅は貸家で、周囲の道も狭い。警備や取材陣でごった返すような事態になれば、近所は大迷惑です。かといって、公邸では気持ちが休まらない。伸子夫人は“ホテル代がバカにならない”とボヤいていました」(官邸事情通)

それにしても軽井沢とは、きな臭い。
菅首相はゴルフをやらない。趣味はダイビングだ。遊ぶのなら山より海というタイプである。高原での静養には、ただでさえ違和感が残ってしまう。
しかも、軽井沢には鳩山前首相の別荘がある。19日には、グループの研修会も開かれる。小沢前幹事長や輿石参院会長も出席の見込みだ。
その直前の軽井沢入りは、いやでも、鳩山前首相との密会を想像させる。菅首相の目的も、ズバリ、そこにあるようだ。

「鳩山首相も、16日からの訪中を控えて夏休みを取っています。菅首相が軽井沢で接触することは可能でしょう。もっとも、この時期に鳩山前首相がホイホイと誘いに応じるとも思えません。ただ、菅首相からすれば、実際には会えなくても、密会を偽装して党内を疑心暗鬼にさせるだけでもいい。『どうやら菅再選で話がついたらしい』となれば、勝ち馬に乗ろうという議員が雪崩を打つ。静養の場所として軽井沢を選んだのには、そんな狙いがあるはずです」(民主党関係者)

党内では「軽井沢」というキーワードから、「19日の研修会は菅さんも出席する」との話が盛んに語られ始めている。これも菅周辺が仕掛けた再選戦略ともっぱらだ。
「菅首相が小沢前幹事長と研修会で顔を合わせれば、2人の手打ちを演出できます。顔も見たくないほど嫌っている相手を敬遠し、小沢前幹事長が欠席となれば、周囲に“小沢―鳩山ライン”の亀裂を印象づけられる。小鳩を分断すれば菅再選はテッパン。どっちに転んだとしても、反菅勢力の動きを封じ込められるという計算です」(事情通)

首相としての理念はボケボケで、「国民の生活が第一」を実現するためのリーダーシップや実行力もないくせに、ポストを守る悪知恵だけは一丁前。それが首相の正体とすれば、イヤになる。