●機密費「公開あり得ない」 現職官僚、異例の法廷証言
(共同通信 2010/08/13 22:30)  http://bit.ly/91CUMd


 内閣官房報償費(機密費)をめぐる情報公開訴訟の口頭弁論が13日、大阪地裁(山田明裁判長)であり、内閣官房の千代幹也内閣総務官が証人として出廷。「接触相手や支払った金額が明らかになれば『カネで解決しようとしている』と批判され、政策運営に大きな支障が生じる」と説明し、使途などの公開は「あり得ない」と述べた。

 千代氏は2006年7月から計7人の長官のもとで機密費の国庫への請求や関係書類の保管を担当。機密費をめぐり現職官僚が法廷で証言するのは異例だ。

 千代氏は地裁に提出した陳述書や証言で「重要政策に適切に対処するには各方面の『生きた情報』が不可欠」と前置きし、「日本社会には本音と建前があり、相手の体面を保ちながら本音を理解するのが重要」と説明。

 その上で「協力者名が将来明らかにされないことが保障されなければ本当の意味での情報収集はできず、国益を損ねる」「支払い金額が公開されれば他人と比較して金額が低い協力者が内閣を見限り、情報を暴露する恐れがある」などと非公開の意義を強調した。



●機密費「情報や協力依頼の経費」 担当官僚、法廷で証言

(asahi.com 2010年8月13日22時0分) http://bit.ly/9sUn6k


 内閣官房報償費(官房機密費)の使途公開請求訴訟の口頭弁論が13日、大阪地裁(山田明裁判長)であり、その使い道を知る内閣総務官の千代幹也(ちしろ・みきや)氏(57)が証人として出廷した。千代氏は「国益が大きく損なわれる」として、機密費を支払った相手の名前などが公開されることに反対。一方で、政府と意見が一致した人物に機密費を渡すことや、どんな関係者に支払うかについての「基準」がないことなどを明らかにした。

 内閣総務官は官房長官を補佐する内閣総務官室のトップで、千代氏は2006年に就任。首相官邸に保管される機密費の管理や出納簿の作成などを担っている。国側と原告の市民団体「政治資金オンブズマン」(大阪市)の双方が証人として呼ぶよう求め、地裁が5月に尋問を決定した。機密費をめぐり、担当官僚が法廷で発言するのは異例。

 千代氏はまず、機密費について「官房長官が国内外の難しい政策課題を解決するために必要な情報収集や協力依頼に使う経費」「領収書類は厳重に保管している」と説明。支出先や領収書類などを明らかにできない理由として「相手方は名前が出ない前提で協力している」とし、金額についても「(別の相手と)比較されて不満が生じ、信頼関係が崩れる可能性がある」と述べた。

 そのうえで機密費の支出をめぐり、司法の場で初めて証言。政府高官が政府と立場を異にする人物に接触して情報収集を頼み、その謝礼として機密費を支払っていることを明らかにした。

 また、官房機密費のうち官房長官が自ら管理する「政策推進費」について、原告側が「国は合意、協力、情報の対価と位置づけているが、この合意とはどういう意味か」と質問したのに対し、「(政府に)協力してもらうことや、一定の範囲で相手方と意見が一致したことなどを含む」と説明。だが、この相手に野党議員が含まれているかどうかについては言及しなかった。

どんな人物に機密費を支払っているかとの問いには「基準はない」とし、国会議員や官僚に対しての支払いを禁じる規定も設けていないことを明かした。

 千代氏の証言を受け、原告側は「さらに官房機密費の現状を知る人物に話を聴く必要がある」として、元官房長官の安倍晋三元首相を証人として呼ぶよう地裁に申請。地裁は10月22日の次回口頭弁論以降に判断するとみられる。(阪本輝昭)