衝撃!米GM・中国がタッグ 日本メーカーは壊滅の危機

(日刊ゲンダイ2010/8/14)

業績回復で急浮上 電気自動車の電池で米中が統一規格へ
─野田財務相や日銀の白川総裁が、円高について発言した途端に円高は一服した。トヨタやホンダなど輸出企業にとっては救いの発言だったが、自動車業界では、円高以上にショッキングな憶測が流れている。日本メーカー壊滅の危機だというのだ。壊滅の遠因は、米GMの業績回復にある。
「GMは2四半期連続(10年1月からの半年間)で最終利益が黒字化しました。これで再建はほぼ完了。いよいよ攻めに転じようとしています。遅れ気味だった電気自動車で巻き返すともっぱらなのですが、バックに米政府がついているだけに不気味です。実は米政府と中国政府が手を結び、電気自動車分野で主導権を握る手はずだというのです。GMがその象徴になるかもしれません。本当だったら日本メーカーは壊滅です」(自動車業界関係者)
米国と中国を合わせると、今や自動車市場の4割を握る。この市場を米中に押さえられたら、日本メーカーは太刀打ちできない。経済ジャーナリストの井上学氏も言う。
「電気自動車に搭載する電池の規格一本化を両国で進めているといわれます。GMや中国メーカーが、全く同じ電池を使用すれば全市場の4割を押さえ、世界標準になる。日本メーカーと無関係にコトは進んでいるのです」
すでに米電池大手の「エナデル社」と中国の「万向集団公司」が手を結び電池の合弁会社をスタートさせると発表。米電気自動車ベンチャーの「コーダ・オートモーティブ」も中国の「天津力神電池公司」と連携するとしている。
米中共同で開発した電池をGM車が搭載するとみられている。GMは中国の「上海汽車集団公司」と合弁で、上海GMを持っている。ここを拠点に、米中統一規格の電池を載せた電池自動車を投入する日は近い。
「ガラパゴス化した携帯電話と同じで、日本基準では世界に通用しないのです。電気自動車の電池分野で、同じようなことが起きる可能性が高まっています。そうなったら自動車産業は裾野が広いだけに日本経済へ与える影響は計り知れません」(第一生命経済研究所の嶌峰義清氏)
オバマ大統領が昨秋訪中した際、電気自動車の規格統一で中国政府と合意したと伝えられる。このままだと日本メーカーは「車体をつくるだけ」の下請けに成り下がってしまいかねない。