焦る町村 補選復活また赤信号

(日刊ゲンダイ2010/8/16)

民主党新人候補の評判が上々

参院選の“勝利”も束の間、自民党の支持率は再び下がり、忘れられた存在になりつつある。そこで浮足立っているのが、自民党の町村信孝元官房長官(65)だ。
地元の北海道5区では、民主党の小林千代美前議員の辞職を受けて、10月に補選が行われる。町村はいち早く出馬を表明。夏祭りや商店街に頻繁に顔を出し、慣れないドブ板を繰り広げてきた。
「町村氏は昨年の衆院選で小林氏に敗れ、比例復活。派閥領袖として、肩身の狭い思いをしてきました。次の総裁を目指すには、小選挙区で堂々と勝つしかない。“政治とカネ”の問題で民主党が失速した時は、町村陣営も楽勝ムードだったのです。ところが、民主党が想定外の隠し玉を擁立したことで、すっかり風向きが変わってしまった」(地元紙記者)
当初、民主党は補欠選挙に山岡賢次国対委員長の息子で、元NHK記者の山岡達丸衆院議員を立てるとみられていた。しかし一転、今月になって、元国交省キャリアの中前茂之氏(38)が出馬を正式発表した。「中前氏は札幌出身で、千歳道路事務所長も務めるなど地縁がある。何より、若くてマスクがいい。趣味も多彩で、空手は黒帯。カメラやバイクのほか、華道の心得もあるそうです」(民主党関係者)
窮地の町村は、名刺にも「クリーンな政治」などと刷って、政治とカネの問題で一点突破を狙うが、これも逆効果になっているという。
「確かに補選のきっかけは、小林前議員の政治とカネの問題だが、そればかり言い続けると、かえって有権者から“しつこい”と不評を買ってしまう。だいたい、嫌みなトークが売りで、旧態依然とした自民党の象徴みたいな町村が、クリーンとか言っても無理がある。さらに困ったことには、民主党の中前は、町村の長女と札幌南高校で同級生だったらしい。まさに親子ほど年齢が違うわけで、世代交代を対立の構図にされると厳しい……」(自民党道連関係者)
いっそ長女を身代わり出馬させた方がいいかも。