なぜ?「官房機密費」を知るキーマン官僚が人事異動

(日刊ゲンダイ2010/8/21)

菅政権ですでに2億円支出のデタラメ
一体どんな思惑が隠れているのか――。政府はきのう(20日)、小川洋内閣広報官の後任に千代(ちしろ)幹也内閣総務官を充てる人事を決めた。千代総務官といえば、安倍晋三官房長官時代の06年7月以来、7人の長官を補佐。政府の裏金「官房機密費」のすべてを知る人物で、機密費絡みの裁判に現役官僚として出廷し話題になった。そのキーマンがなぜ今、“現場”を離れるのか。
「機密費は“裏金”だから、金庫番をクルクル代えると情報が漏れる恐れがある。だから、担当の官僚は口が堅くなければならず、千代氏が7人の長官を支えたのも、うってつけの人物だったからです。しかし、今回、法廷証言したことで名前が広まってしまった。機密費に対しては国民の不満も高く、名指しの抗議電話が役所にかかっているというから、“危険回避”したのではないか」(内閣府担当記者)
一方、政府は20日の閣議で、鳩山内閣が支出した機密費の関連書類を仙谷官房長官が平野博文前官房長官から引き継いでいたことを認める答弁書を決定した。仙谷は3日の衆院内閣委員会で「引き継いでいない」と答弁していたのだが、これが真っ赤な大ウソだったのだ。
「答弁書ではほかに、菅内閣発足後、6月25日と7月23日に1億円ずつ、計2億円の機密費を支出したことを明らかにしました。具体的な使途は不明です」(前出の記者)
“金庫番”を昇進させ、すでに2億円ものカネを使って知らんぷりの菅内閣。機密費に対する姿勢がよく表れているではないか。