ウソかマコトか…市場に流れる 新100ドル札(来年2月発行)が円高犯人説

(日刊ゲンダイ2010/8/25)

偽札大量処分でドル安が加速

アメリカの新札発行が円高の真犯人! にわかには信じ難い「新説」が市場関係者の間に流れている。為替相場は15年ぶりに一時1ドル=83円台に突入。ここまで超円高が進むと、トヨタ自動車やソニーなど輸出企業の業績悪化は避けようがない。
24日の株式市場は売り一色で、平均株価はついに9000円を割り込んだ。終値ベースでは約1年4カ月ぶりの大暴落である。
市場では、突拍子もない円高犯人説が囁かれ始めた。
「米国が来年2月に発行する新100ドル札がドル安(円高)の本当の原因だというのです。新札発行を決めた最大の理由は偽札対策ですから、新札発行後に旧100ドル札が使えなくなる可能性が高い。新札と旧札の交換期限を設けるなど、米国は何らかの対策を取るでしょう。こうなると偽札は行き場を失います。だから新札が発行される前に、偽札を処分しなければならない。世界中で偽札の大量処分が始まった。ドルがどんどん売られています。これがドル安の“真犯人”だというのです」(黒岩アセットマネジメントの黒岩泰代表)
米政府が把握しているだけでも、世界中で数十億ドル規模の偽札があるといわれる。おそらくその数倍の偽ドルが出回っているはずだ。こうした大量の偽札が、絵画や金、プラチナ、そして円やユーロに姿を変えているとすればドル安の流れが止まるわけがない。
来年2月に向け「駆け込み需要」は増加するだろうから、円高が加速することはあっても、落ち着くことはあり得ない。
菅政権や日銀にとっては、責任を回避できる好都合な真犯人説だろうが、このまま無策を続ければ、95年4月に付けた過去最悪の1ドル=79円75銭の更新は時間の問題だ。為替介入でも何でも、打てる手は今すぐ打ったほうがいい。