[影の総理・仙谷官房長官]事務所費スキャンダル 「長男の会社に320万円」は序の口
(日刊ゲンダイ 2010/8/30)

民主党代表選を左右すると永田町大騒ぎ

民主党代表選の最中に、とんでもない“爆弾”が破裂した。朝日新聞が1面で大きく報じた仙谷由人官房長官(64)のスキャンダルだ。他紙も一斉に追い始めた。菅陣営は、小沢前幹事長の「政治とカネ」問題を攻めたて、世論を味方に引き込む作戦だったが、自分の尻に火がついた格好だ。
官邸の主である仙谷官房長官は、いまや事実上の首相である。党内融和を望んだ菅首相の尻をたたいて「小沢排除」を進め、今回の代表選でも菅陣営を引っ張っている。「小沢なんて民主党から追放すればいい。マスコミも世論もこっちの味方。離党しても、ついていくのは数人だ」と豪語しているとも伝えられる。

そんな絶頂期の「陰の首相」にスキャンダルだから面白い。
朝日新聞が報じたのは、仙谷が長男(36)の経営する不動産会社に、3つの政治団体から320万円を支払っていたというもの。この長男は東京・新橋のビルで司法書士事務所をやっているが、その事務所(約100平方メートル)の中に、くだんの不動産会社に加え、仙谷の弁護士事務所、仙谷の3つの政治団体も“同居”している。しかし、政治団体の専用スペースも電話もない。それなのに「人件費」や「事務所費」名目で320万円を支出したのは、「長男側の経費を政治資金で補填した疑いがある」というわけだ。
朝日の記事は触れていないが、この長男の新橋の事務所には、前原グループ(凌雲会)の事務所も置かれている。代表者が仙谷、会計責任者が枝野幹事長だ。

「この前原グループの事務所費をめぐっても奇怪な話があるのです。主たる事務所にしているのに、年間5610円しか支払っていない、おかしいと週刊誌などで騒がれたものです」(政界関係者)
ま、たかが320万円。オヤジが息子の事務所経費をちょっと援助しただけといえば、騒ぐことでもなさそうだが、実は、疑惑は320万円のレベルではない。

ある関係者は「新橋の事務所は、仙谷氏の献金集めのトンネル会社になっているんじゃないかという疑惑がずっとある」と指摘した。この問題を追う政治ジャーナリストの藤本順一氏もこう言う。
「仙谷官房長官は、人権派弁護士として、カネ集めに無縁のようなイメージがありますが、そうでしょうか。政治家の顔を使って、長男の司法書士事務所に何か利益を与えたことがあるのかないのか。一体どんな企業が長男の事務所に紹介されたことがあるか。それを洗っていくと、闇は深い。マスコミの動き次第では今度の代表選を左右する決定打になると思いますよ」

朝日の報道でアワ食ったのか、仙谷は急にバタバタと党内融和で動き始めた。焦っている証拠だ。仙谷の指令の下、枝野執行部は「小沢が代表や幹事長をやっていた時代の政党助成金や組織対策費の使い道を洗い直せ」なんて必死でやっているが、“仙谷爆弾”を不発弾にすることが先決になってきた。