グチャグチャになっている第5検察審 (日刊ゲンダイ2010/8/31)

こんなものが小沢出馬を左右するとは 新聞テレビは悪用するな
菅―鳩山会談を受けて永田町には「小沢不出馬」説が流れている。「もともと小沢は首相になる気がなかった」との見方も流されている。
その根っこにあるのは、10月にも予定される第5検察審査会の議決である。2回目も「起訴相当」なら、小沢は強制起訴され、被告の身になる。民主党から離党で、政治生命は終わる。首相になれば、この強制起訴を逃れられる。それで「代表選出馬」を決めたと新聞テレビは報じてきた。仮に「起訴相当」以外の議決が出たら、その時はその時で、小沢首相が法務省に圧力をかけたという報道が出るのだろう。どっちにしても、小沢にとって検察審はノドに刺さったドデカいトゲ。
そこで今回、「代表選に出ないことで、法務省、つまり菅内閣と手打ちしたのではないか」(事情通)なんて話もマスコミのウラ側で囁かれている。不出馬を条件に「起訴相当」を免れるというものだ。
しかし、こうしたさまざまな見方は、虚構を根拠にしているにすぎない。そもそも検察審なんて“絶対的”なものではないし、注目の東京第5検察審はいまグチャグチャになっているのが実情なのだ。
「11人のメンバーは全員が代わっています。そればかりか、補助弁護士も不在なのです。1回目の審査や議決に関与した補助弁護士は、2回目も関わるのが普通ですが、法曹界から異論が多かったせいか1回目の弁護士は辞めてしまい、その後ガマが決まっていないのです」(司法関係者)
補助弁護士の役割は、法律シロウトの市民11人からの質問に法律の解釈をするのが仕事。余計なことを言ったり、議論を誘導してはいけないのだが、この辞めた弁護士は、「11対0に誘導した」といわれ、それで批判されたのだ。
「それだけに今後、バランスのある人が補助弁護士に選ばれれば、2回目の議決内容は全然違うものになるでしょう。マスコミは最初から2回目の議決も“起訴相当”が出る前提で記事を流し、小沢氏の代表選出馬を批判してきた。そうした報道こそが、11人の審査員や補助弁護士に予断と偏見を与えてしまうのです」(民主党・辻恵議員)
新聞テレビは、自分たちの報道で左右できる検察審を、匕首(あいくち)のごとく、小沢のクビに突きつけて代表選不出馬の流れをつくろうとしている。悪ラツだ。