一体どこが「政治主義」か!官僚は仙谷長官を嘲笑っているぞ

(日刊ゲンダイ2010/9/8)
予算編成 概算要求一律10%カット

いったい、どこが「政治主導」なのか。仙谷由人官房長官は、なに寝言を言っているのか。
菅内閣が各省庁に一律10%カットを求めた来年度予算の概算要求について、小沢一郎が「これでは自民党と変わらない。役所まかせの予算編成だ」と批判した。すると、仙谷長官がムキになって「現実を踏まえない酷評だ。政治主導で行ったものだ」と反論したのだ。
しかし、各省庁一律10%カットの概算要求は、誰が見たって100%「官僚主導」だ。霞が関の役人があざ笑ってこう言う。
「菅内閣での概算要求は、自民党時代と同じどころか、さらに官僚主導が強まっている。たとえば防衛省の概算要求です。前年度予算から10%カットするために、なんと在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)を全額カットしてしまった。そのうえでカットした『思いやり予算』を全額、菅内閣が『政治主導』の目玉にしている概算要求の『特別枠』として要求しているのです。本来『特別枠』は、新成長戦略関連の予算です。思いやり予算は関係ない。しかも、『特別枠』は優先順位をつける政策コンテストにかけられるため『落選』して一円も認められないリスクがある。しかし、対米追従の菅内閣が『思いやり予算』をゼロにできるはずがない。全額認めるに決まっている。防衛官僚はそこまで計算しています。結果的に防衛省の予算は10%カットどころか、ほとんど削られないのではないか」
こうした手法は、防衛省に限らない。財務省は概算要求で「中小企業対策費」をドーンと削り、「特別枠」で復活させている。ほかの省庁も似たり寄ったりだ。このままではムダは削られない。菅内閣はトコトン官僚になめられている。
これでは、小沢一郎が「役所まかせの予算編成だ。生活のための予算は増額し、ムダなものは削るという民主党の主張に、まったく反するやり方だ」と嘆くのも当たり前だ。なぜ、仙谷長官は謙虚に反省しないのか。