非難噴出!民主代表選終盤に鈴木宗男実刑確定の不可解  (日刊ゲンダイ2010/9/9)

狙いは検察批判封じか小沢一郎潰しか

なぜこのタイミングなのか――。ムネオこと、新党大地の鈴木宗男衆院議員(62)がきのう(8日)、懲役2年の実刑判決が確定する見通しになった。「権力による国策捜査」を繰り返し、約8年間、検察批判を続けてきたムネオ。議員失職、収監は避けられそうにないが、取り調べの全面可視化や冤罪被害者の支援にも取り組んできただけに、民主代表選終盤での最高裁決定についてさまざまな憶測が飛び交っている。
法曹界関係者がこう言う。

「鈴木被告の実刑はある程度、予想されていたとはいえ、なぜこのタイミングなのか。10日は大阪地裁で、郵便不正事件の無罪判決が出る可能性が高い。最高裁が検察に配慮したとは思えないが、検察デッチ上げ捜査を批判していた鈴木被告の実刑確定と無罪判決の報道の時期を合わせることで、検察批判をかわそうとしたのではないか」
佐藤優・外務省元主任分析官も「(郵便不正事件判決で)特捜検察が正義の味方だという神話が裁判所によって覆され、世論の批判が高まる。国策捜査を訴える鈴木議員の主張が無視できなくなる事態を避ける意図があった」と分析している。

資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反事件で秘書が起訴された民主党の小沢一郎前幹事長に「共闘」を呼び掛けていたムネオ。エールを送っていた小沢は今、代表選まっただ中にいる。
「大マスコミの記者たちは早速、会見などで“鈴木実刑”問題を取り上げ、『政治とカネ』に焦点を当てようとしている。小沢潰しに利用しているようにみえてなりません」(永田町関係者)
検察の「裏金」を告発しようとして“口封じ”で逮捕、起訴された元大阪高検公安部長の三井環氏はこう言う。
「鈴木氏の事件は大失敗捜査です。あの事件は、贈賄側の時効が完成していて、贈賄側は誰ひとり逮捕されない。だから、検察にとって都合のいい調書が取れる。検察のストーリーに沿って贈賄側が固められると、弁護側が覆すのは不可能です。かつての検察なら絶対に扱わない。鈴木氏は法務・検察改革に先頭に立って取り組んでいただけに(実刑確定の見通しは)残念です」

今回の最高裁決定で、あらためて法務・検察への不信感、疑念は強まった。抜本的な改革が必要なのは明白だ。ところが、弁護士出身の仙谷官房長官は7日の会見で、小沢の事件を扱う検察審査会(検審)の議決について、検察の起訴と検審の強制起訴は「法律効果として違いはない」なんて暴論を吐く始末。強制捜査権を持つ検察と、専門知識もなく検察や補助弁護士の意見を参考に会議するだけの素人集団の結論がなぜ同等なのか。菅―仙谷ラインでは、法務・検察改革は絶対進まない。