●代表選“地方票”は菅首相が「優勢」
(TBSニュース2010年09月09日16:19)  http://bit.ly/bcNzUM


民主党代表選挙で3度目となる街頭演説会が9日午後、札幌で行われました。

 「この選挙が終われば小沢さんとも、これまで通りしっかり手を握って全力をあげてがんばりぬく」(菅 直人 首相)

 「決断した以上、本当に政治生命はおろか、自分の一命もかけてお約束を必ず守ります」(小沢一郎 前幹事長)

 地方議員と党員・サポーターの郵便による投票は11日が締切。選挙で3分の1の比重を占めるこれらの票がどう動くのか、JNNの取材でその情勢が明らかになりました。

 JNNは地方議員と党員・サポーターらの郵便による投票が11日に締め切られるのを前に県連などへの取材をもとに情勢を調べました。

 まず、地方議員票では大半の都道府県で菅氏が優勢で、およそ1300人が菅氏を支持。小沢氏支持はおよそ800人に留まりました。この結果、ドント式で割り振られる100ポイントのうち6割あまりを菅氏が獲得する勢いです。

 一方、党員・サポーター票は衆議院小選挙区の300の区域ごとに勝者に1ポイント与えられますが、こちらも菅氏がおよそ200の区で優勢、小沢氏の優勢はおよそ90に留まりました。

 態度が不明な地方議員や情勢が互角な区もまだ残っていますが、現時点での取材結果を総合すると、地方議員と党員・サポーター票では菅氏がおよそ260ポイントを獲得する勢いで、およそ130ポイントの小沢氏をダブルスコアで引き離しています。

 そして、1人2ポイントを持つ国会議員票ですが、JNNの調べでは菅氏がこれまでに固めたのは169人、小沢氏は181人です。これを2倍して加えると菅氏は過半数まであと14ポイント程度に迫っています。

 一方、小沢氏が逆転するにはあと120ポイント程度、国会議員の数にして60人程度が必要ということになります。

 未だ態度を明らかにしていない議員は61人。終盤にかけて情勢が変わる可能性もあり、双方の陣営は票固めや切り崩しに向け、14日の投票直前まで激しい選挙戦を展開することになりそうです。




●代表選、菅氏を小沢氏猛追…未定の国会議員カギ
(読売新聞2010年9月9日03時05分) http://bit.ly/dCRDah


 読売新聞社は8日、民主党国会議員を対象に実施したアンケートと都道府県連などへの取材を通じ、民主党代表選(14日投開票)の中盤情勢を調査した。

 投票権を持つ国会議員(411人)のうち、菅首相は168人、小沢一郎前幹事長は171人の支持を固めた。地方議員、党員・サポーター票は菅氏が6~7割を獲得する勢いで、全体としては菅氏を小沢氏が猛追する展開となっているが、終盤に向け、情勢は変動する可能性がある。

 地方議員と党員・サポーターの投票は郵便で行われ、11日に締め切られる。選挙戦終盤は態度を明らかにしていない72人の国会議員らの動向が焦点となる。

 国会議員アンケートは、民主党衆院議員305人、同参院議員106人のうち、262人(衆院202人、参院60人)から回答を得た。回収率は64%。

 アンケート結果に、取材結果などを加味すると、菅氏は衆院で127人、参院41人の支持を固めた。

 これに対し、小沢氏は、衆院127人、参院44人の支持を固め、菅氏と競り合っている。当選1回の衆参両院議員に限ると、菅氏を上回る支持を得ている。

 「菅氏を支持する」と答えた議員にその理由を複数回答であげてもらったところ、「首相を短期間で替えるべきではない」が75%で最も多く、「税財政改革に臨む姿勢が評価できる」50%、「人柄を信頼できる」37%が続いた。

 小沢氏を支持する理由は「リーダーシップがある」が95%で最多で、「経済政策が評価できる」が65%だった。

 一方、地方議員や党員・サポーターの支持動向は、代表選序盤と大きな変動はない。

 代表選は投票結果をポイントに換算して争われる。総計1222ポイントのうち、国会議員票が約3分の2の822ポイントを占めるため、両陣営ともに、態度を明らかにしていない国会議員への働きかけを強めている。




●民主代表選:組織固め激しく 蜜月、中間派にアピール
(毎日新聞 2010年9月9日 22時02分) http://bit.ly/9zFQAi


 民主党代表選で、菅直人首相と小沢一郎前幹事長の両陣営が労組など支持団体への働きかけを強めている。特に小沢氏は選挙協力のパイプを築いてきた全国郵便局長会(全特)など業界団体とも連携し、選挙地盤の強くない国会議員の取り込みを図る「組織戦」を徹底。これに対し、菅首相は9日、経済界からの要望の強い法人税引き下げに取り組む方針を表明した。民間労組の支援を受ける旧民社党系グループの支持を取りつける思惑もちらつく。【大場伸也、小山由宇】

 小沢氏は業界団体との緊密な関係を新人議員にアピールしている。7日夜、全特の柘植芳文会長が東京・赤坂のすし店で新人議員約15人に会い、「一番尊敬するのが小沢先生。代表選後も力いっぱい民主党を支える」と語りかけた。郵政改革法案への理解を求める会合だったが、遅れて顔を出した小沢氏が「成立に力を尽くしたい」とあいさつ。菅首相支持の議員は「小沢さんが来るとは知らなかった」と席を立った。

 全日本トラック協会の中西英一郎会長も8日、国会内で民主党議員約20人との会合で「小沢さんに経済危機を打開してもらいたい」と表明。小沢氏は「国債発行もやむを得ないという心構えで財政出動を」と応じた。日本医師会も原中勝征会長が新人議員との懇談会を開いている。代表選の約4分の1を占める党員・サポーター票に対し、業界団体の影響力は限定的だが、次期衆院選への不安を募らせる議員にとって「組織票」は魅力。議員心理に訴え、支持拡大を図るのが小沢氏の戦略だ。

 組織戦では後れを取る菅陣営だが、枝野幸男幹事長は9日、東京・大井で開かれた自動車総連の定期大会で「自動車産業にとっても深刻な円高、経済状況の克服が課題だ」と経済対策に取り組む菅政権の姿勢を強調した。

 8日のUIゼンセン同盟、電力総連に続く大手企業系労組への行脚。自動車総連などが支援する旧民社党系グループ(約30人)は中間派が多く、集中的に支持を働きかけている。

 トヨタ労組出身の直嶋正行経済産業相は3日、「内閣の一員であり、政策を実行していくのが私の役目だ」と首相支持を表明した。日本経団連など財界も「首相をひんぱんに代えるべきではない」と首相続投を支持する声が強く、菅首相は経済界との距離を縮める。

 しかし、組織と国会議員との板挟みで、ジレンマを抱え込むケースもある。

 「菅氏は人事院勧告をさらに削減する方向。私は菅氏を支持せず小沢氏を支持します」。7月に初当選した自治労の組織内議員、江崎孝参院議員(比例)は6日、こんな手紙を47都道府県の自治労本部にファクスし、党員・サポーター約700人にも郵送した。

 公務員給与の改定は毎年、人事院が内閣と国会に勧告し、そのまま実施されるのが通例だ。しかし、菅首相は1日に発表した政見に「人事院勧告を超えた削減を目指す」と明記。8月26日に政策提言を持ってきた新人議員14人から「これをのまないと応援できない。第3の候補に出てもらう」と迫られ、政見に取り入れた。

 これに対し自治労は強く反発した。徳永秀昭中央執行委員長は8日の集会で、「人件費削減を乱暴に主張することは許されない」と首相を批判。江崎氏と同じ組織内の相原久美子参院議員(同)も小沢氏の支持を決めた。

 自治労の組合員は約86万人。幹部は「首相はうちの支持より、まとまった新人議員の票が欲しかったのだろう」とみる。菅首相は労組より世論の支持を高めることで、代表選のカギを握る新人議員の取り込みを狙った形だ。