世紀の冤罪事件、きょう決着 戦前さながら"特高"検察の恐ろしさ  (日刊ゲンダイ2010/9/10)

木村下局長は無罪確実 ちゃんちゃらおかしい「司法の正義」

「青年将校化した検察官は冤罪を生んでいく」――。最高裁の上告棄却決定で有罪が確定する見通しとなった衆院議員・鈴木宗男被告(62)は8日の会見でこう叫んだ。その言葉通り、検察史上に残る「大冤罪」事件の判決がきょう(10日)午後、大阪地裁(横田信之裁判長)で下される。厚労省元局長の村木厚子被告(54)をめぐる郵便不正事件のことである。
検察の「作文」はざっとこんな感じだ。
自称・障害者団体元代表の倉沢邦夫被告(74)=1審で一部無罪、検察控訴=が04年、障害者団体向けの割引郵便制度を利用するため、偽の団体証明書発行の“口利き”を民主党の石井一参院議員に依頼。厚労省の元障害保健福祉部長が当時課長だった村木被告に指示し、元係長の上村勉被告(41)=公判中=に偽の証明書を作らせた――。
大マスコミは当初、大阪地検特捜部のリークをタレ流して村木被告らを非難。石井議員の斡旋収賄罪の可能性に言及するメディアさえあった。ところが、公判が始まるや、デタラメが次々と発覚したのである。
「元部長ら検察側の証人が村木被告の関与を否定したのです。『ウソの証拠を示されて供述を強要された』と言い出した元部長は『事件自体が壮大な虚構』とまで言い切った。石井議員のアリバイもすぐに証明され、事件のキーマンとされた上村被告も『(調書は)検察官のデッチ上げ』と証言。特捜部の恐ろしい正体が明かされたのです」(公判傍聴者)
本来なら“唯一”の証拠だった調書を失ったのだから、検察は「論告・求刑」できないハズ。ところが大阪地検特捜部はここでも悪あがきし、「村木被告の指示がなければ偽造は実行不可能」と憶測を重ね、ムリヤリ懲役1年6月を求刑したのだ。名城大教授で弁護士の郷原信郎氏はこう言う。
「もともとデタラメな起訴で、検察は求刑放棄という手段もあったのに、憶測、推測だらけの論告で求刑を強行しました。無罪判決の可能性が高いが、裁判所が判決理由で検察の取り調べをどこまで批判するのかが注目されます。無罪判決が出た場合、マスコミがきちんと検察を批判して控訴断念に持っていけるか。千葉法相や内閣がどう判断するのかも重要です」
この事件も小沢事件も構図は同じ。検察は「法と証拠に則って」なんて言っているが、要は関係者をフン捕まえて密室でギュウギュウ締め上げ、シナリオ通りの供述をさせているに過ぎない。戦前よりもタチが悪い暴走・検察をこれ以上、野放しにしてはダメだ。