村木元局長・無罪 検察のデタラメ実証は代表選に影響する

(日刊ゲンダイ 2010/9/11)

それにしても不起訴の小沢事件だけがなぜ延々と続いているのか

◆検察の密室の横暴を暴露

検察のデタラメ、横暴が白日の下にさらけだされた。
郵便料金不正事件で大阪地裁は10日、厚労省元局長村木厚子被告(54)に無罪判決を言い渡した。
横田信之裁判長は「被告が証明書作成を部下に指示した事実は認められず、共謀があったとは認定できない」と断定。元局長の関与を認めた元部下らの供述調書については公判の中で「検察官の誘導があった」と指摘し、証拠採用しなかった。
「弁護側は“強圧的な取り調べで不合理なストーリーに沿った調書を大量に作成し、強引に起訴した”と批判していました。今回の裁判で、検察の密室の横暴が暴露された形です。自分たちの思惑通りにストーリーを作り、調書をでっち上げる危険極まりない体質は“犯罪的行為”といっていい。とことん責任を追及するべきです」(司法関係者)
元東京地検特捜部長の熊崎勝彦弁護士も「供述の吟味や徹底した裏付け捜査が行われなかったきらいがあり、検察はよく検証し、今後の捜査に生かしていく必要がある」と指摘している。
検察の捜査手法に対しては、最高裁の上告棄却決定に異議を申し立てた鈴木宗男被告も「青年将校化した検察官は冤罪を生んでいく」と批判している。
側近議員や秘書ら3人もの逮捕者を出し、本人への事情聴取も再三行った「小沢事件」も構図は同じ。検察はどうしても小沢を有罪に持っていこうとしたが、結局不起訴となった。
検察のデタラメが改めて実証された今回の裁判は、「政治とカネ」で小沢がネチネチと攻められている民主党の代表選にも影響を及ぼす。政治評論家の山口朝雄氏が言う。
「この週末、議員たちは地元に帰り、後援者、支持者たちの声を聞くわけですが、検察の横暴さが当然話題になるでしょう。“小沢事件も検察のストーリー”という議論になれば、“政治とカネ”だけで小沢を排除していいのかということになる。いまだに態度を決めかねている数十人の議員たちにとっては、こうした支持者の声は判断材料になる。代表選への影響はいろんな形で出てくるでしょう」


◆村木判決が大きな転換点となるか

それにしても、検察が2度までも不起訴処分とせざるを得なかった“小沢事件”だけが、なぜエンドレスに続くのか。平成16、17年分の政治資金収支報告書への虚偽記載容疑については、東京第5検察審査会の再審査が本格化。10月下旬には議決が出される見通しだという。本当に執拗な“攻撃”だ。
「大マスコミも含め旧体制は、自分たちの既得権益を脅かす小沢一郎という改革派の政治生命を何が何でも絶ちたい。そこで延々と小沢批判を繰り広げ、あの手この手で小沢を追い詰めている。暗黒時代ですね。今回の村木元局長の無罪判決が、その嫌な流れを変えるきっかけになるといいのですが」(山口朝雄氏=前出)
「村木無罪判決」が、民主党代表選を左右する大きな転換点となれば、この国の民主主義は確実に成熟に向かう。