野党案丸のみ作戦、部分連合では自民党化が進み無力化する [小沢逆襲シナリオ]

(日刊ゲンダイ2010/9/14)

どんな根拠があるのか知らないが、再選を果たした場合、菅は「ねじれ国会」を部分連合で乗り切るという。「丁寧に、謙虚に、真摯に議論していけば、合意形成は可能」(毎日新聞7日付朝刊)と意気込み、1日の共同記者会見では、「ある意味では天の配剤ではないか」とまで言っていた。まるで「ねじれ国会」の方がいいみたいだが、ちゃんちゃらおかしい。「国民の生活が第一」を掲げる民主党と、政官財の利権構造にドップリつかった自民党は、本来、水と油である。どれだけ脳味噌をフル回転させようが、歩み寄れる可能性はない。
実際、自民党は09年マニフェストをすべて見直せと主張している。目玉政策の「子ども手当」にはバラマキの烙印を押しているのだ。
◆民主党本来の政策はすべて消滅
そんな相手と手を組むとすれば、菅は国民を裏切ることになる。昨年の衆院選で、マニフェストも含めて支持し、民主党を大勝させた有権者への背信行為――。それを平気でやってのけるつもりだ。
政治評論家の山口朝雄氏が言う。
「菅首相は、民主党代表だった98年の金融国会で、民主党案を自民党に丸のみさせています。それを今回の討論会などでは、ねじれ克服の例として紹介し、『真摯な姿勢で臨めば、野党のみなさんも応えてくれる』と説明しています。ということは、菅首相は、自民党案の丸のみだってやるということです。まったく、冗談ではありません。国民は衆院選マニフェストの廃止など望んでいないし、民主党が自民党化すること も受け入れられません。存在感を示したい野党は、自分たちの政策を押し通して手柄を挙げようとするでしょう。民主党の主張に耳を貸そうとするわけがない。結局、民主党の本来の政策は何も通らないことになります」
政策や改革には興味がなく、自らの延命だけを望んでいる。そんな権力亡者が最高政策責任者として居座り続ければ、民主党もレゾンデートルを失うことになる。