大マスコミが煽る小沢の強制起訴 まっとうな判断なら可能性ゼロ

(日刊ゲンダイ2010/9/15)

「検察審議会のプレッシャーがなくなった」

小沢が代表選に敗れたことで早速、大マスコミは検察審査会(検審)の2回目の議決の行方を煽り始めた。「首相を含む国務大臣は任期中、首相の同意がなければ起訴されない」とする憲法75条の問題が消えた――。

そんな論調で、「起訴相当も出しやすい」という雰囲気を作り出している。もちろん、こういった“魔女狩り議決”を許していいはずがない。
事件を担当している東京第5検審は、10月にも2回目の議決を出すとされる。4月の議決に続き、2回目も「起訴相当」議決が出れば、小沢は強制起訴される身だ。小沢は東京第1検審の議決でも「不起訴不当」が出ており、きのう(14日)午後、東京地検特捜部の聴取を受ける意向を伝えたと報じられた。
「“小沢首相”が消え、第5検審の審査員が『起訴相当』の議決を出しやすい状況になったのは間違いない。相手が首相なら、審査員は相当なプレッシャーを受けるが、一議員なら心理的な負担はそれほど感じないでしょう」(司法ジャーナリスト)
検察がメンツを懸けて1年余り捜査し、2度も不起訴にした事件だ。普通なら強制起訴の可能性は1%もない。ところが、検審は、詳しい被疑事実も法律知識も持たない素人集団。「よく分からないから1回目の議決を踏襲」と安易に流れても不思議ではない。1回目の議決でも、大マスコミが「怪しい」と大合唱した結果、小沢は銃刀法違反(共同所持)の共犯に問われた暴力団組長と同じという理屈が採用され、ムチャクチャな議決文が作られた。2回目もそんな結論になれば、日本の司法制度はオシマイだ。
名城大教授で弁護士の郷原信郎氏もこう言う。
「普通に考えれば、強制起訴の可能性は極めて低い。検察が2度も不起訴にした事件の起訴状を、(捜査に直接関わっていない)指定弁護士がまともに書けるはずがないからです」
これが法律のプロの見方である。大マスコミはいつまでも“小沢憎し”報道を続けていないで、検審制度の問題点を検証したらどうか。