普天間問題はじめ難題にすべてお手上げの菅政権でどうなるこの国の運命
(日刊ゲンダイ2010/9/15)

おかしくなるのは国会運営だけではない。普天間問題も外交もグチャグチャになる。
菅は「日米合意を踏まえて」とか言っているが、12日に行われた沖縄・名護市の市議選では、基地移設反対派が圧勝。移設は事実上、不可能になった。
「官邸サイドは反対運動を抑えようと躍起になっているようですが、そこまで沖縄の民意を踏みにじれば、どうなるか。鳩山前首相には、まだ“何とかしたい”という思いがありました。しかし、菅首相には、普天間問題に対する熱意がまったく感じられません。米軍に“出ていってくれ”と言えればそれで済む話なのに、米国追従・官僚依存の菅首相には、そんな胆力もない。小沢氏ならば、沖縄県民の思いを分かってくれるという期待もあったのですが、菅氏の再選で希望はついえてしまいました。政治的理念もビジョンもない菅首相には、普天間問題を決着させることはできない。ますます混乱を招くだけでしょう」(五十嵐仁氏=前出)
今回の代表選で、小沢は結果的には党員・サポーター票で大負けしたが、沖縄県だけ見れば、全選挙区で小沢支持が圧倒的多数だった。「沖縄県民の声をアメリカに伝えることから始めるしかない」という小沢の主張に、県民は希望を託したのだ。
菅が米国と官僚の言いなりになって、名護市辺野古への移設を強行すれば、沖縄の不満は爆発する。“独立運動”も現実味を帯びてくる。
首相には、混乱を収拾するだけの知恵やリーダーシップ、あるいは政治生命をかける覚悟が問われるが、菅には何ひとつない。これが致命的なのだ。
企業でもそうだが、誰がどう見たって無能なのに、自分には能力もリーダーシップもあると過信しているトップほど厄介なものはない。ましてや、霞が関官僚に完全に手玉に取られた菅首相である。日本はお先真っ暗。政治、経済、人心の荒廃……、何を見ても後退していく一方だ。
1年前、政権交代に託した国民の希望は泡と消えてしまった。こんなにも早く官僚主導政治に逆戻りするとは、誰が想像しただろう。あの熱狂は何だったのか。虚無感に襲われる。
この国は、もはや破滅に向かって突き進むだけ。「官栄えて国滅ぶ」を地で行くことになる。民主主義は崩壊に向かって一直線だ。民主党は取り返しのつかない選択をしてしまった。