貧乏神のような仙谷官房長官留任の不吉な前途  (日刊ゲンダイ2010/9/16)

官房長官人事も問題だ。貧乏神のような仙谷が留任するらしいが、とんでもない話だ。

「仙谷官房長官は菅政権が誕生する時に、人事を仕切った黒幕です。つまり、脱小沢人事は仙谷人事です。今度の内閣改造も彼が仕切る。というのも、代表選の結果が出る前に彼が人事案を練り始めているのです。人事権は首相にあるのに、何様なのか。自分の留任を自分で決めた官房長官は初めてでしょう。しかも、仙谷さんの頭の中にあるのは小沢パージだけ。そのためにはあらゆる権謀術数を弄する。そこが恐ろしいところです」(民主党関係者)
小沢憎しの仙谷のことだ。考えていることは察しがつく。国会議員票を200票集めた小沢グループの分断である。「小沢支持の鳩山グループや旧社民党系、民社党系から上手に一本釣りして内閣に取り込む。挙党一致を装い、小沢グループを切り裂く作戦です」(政界関係者)

この期に及んで、党内権力闘争しか頭にない。謀略とパージの政治家、それが仙谷なのである。
「仙谷さんは民主党幹部の中では誰よりも早く消費増税に言及した政治家です。鳩山内閣が発足した時、行政刷新担当相だった仙谷さんは、事業仕分けを仕切った。このとき、財務省の世話になった。以来、財務省寄りの発言に傾斜していく。菅首相の消費税発言の裏に仙谷官房長官がいると指摘する民主党関係者は大勢います」(政界関係者)

官僚に籠絡された謀略政治家が陰の総理としてのさばっている。官邸の中枢に居座りカネと情報を左右する。ゾッとする話だ。評論家の塩田潮氏は別の危険を指摘した。
「菅首相には政策的な中身がないことが問題視されていますが仙谷官房長官にもそれが見えない。この先、日本の将来、国際社会での立ち位置を求められた時に、高度な政治判断ができるのか。日中、日米関係が緊迫しているだけに心配です」
首相も官房長官も頭空っぽ、権力欲だけ。これじゃあ、日本はどこに流されるか、分からない。


◇内憂外患へ対応不能の低能政権

しかも、こんな無能政権に秋以降、次々と難題が降り注ぐのだ。
円高、株安、デフレの加速は言うまでもないし、漁船問題で態度を硬化させている中国、後継者問題で揺れる北朝鮮。そのうえ、米国がグラグラだ。景気が底抜け寸前だし、オバマ民主党が中間選挙で大惨敗するのも必至ときている。そこに普天間問題の決着が迫るのだ。

「9月の名護市議選でも移設反対派が多数を占めた。沖縄の意向を無視して、辺野古への基地移設を強行することはできないでしょう。11月にはオバマ大統領が来日しますが、おそらく、その前に結論は出せない。ウヤムヤにさせたまま先送りする。しかし、それでは普天間の危機が継続する。党内からも『何をやっているのか』との声が出る。外務省、防衛省の声を聞くだけで、何の政治的解決も決断できない菅政権は、一気に求心力を失っていくと思います」(ジャーナリスト・横田一氏)

12月になれば、予算編成。景気が悪化すれば、補正予算という話になる。緊縮財政論の菅は、自分で自分の首を絞め、もだえ苦しむことになる。
チマチマ予算案では景気は底抜けするし、支持率が急降下すれば、野党は絶対に協力しない。予算関連法案は通らず、立ち往生。そのときになって民主党の国会議員と党員、サポーターは自らの愚かさを思い知らされることになる。