普天間と中国の難問解決は到底無理

(日刊ゲンダイ2010/9/17)


外交もグチャグチャの展開となる。まずは普天間問題だ。基地移設反対派が圧勝した12日の名護市議選以降、流れは確実に「辺野古移設は不可能」になっている。
11月の沖縄県知事選に再選出馬を表明した仲井真知事も16日、市議選結果を受け「名護は事実上無理だ」と語り、政府・民主党から辺野古回帰について納得できる説明がなければ「見直しを求める」と言及した。地元の移設ノーの意思は日に日に強固になっていく。
一方、米政権は菅の再選後、「日米両政府の合意に基づく在日米軍計画の再編計画があり、この計画に従って作業を進めていくだけ」(クローリー国務次官補)と、菅政権に合意の履行を迫っている。
問題の先送りをしてきただけの菅首相に、この複雑な状況を解決できる力はない。
「外務官僚や防衛官僚の言いなりになっている菅首相のスタンスは明らかな対米追従です。沖縄県民の民意を汲み取った解決は絶望的です」(政治評論家・山口朝雄氏)
尖閣諸島沖での中国船船長逮捕事件をきっかけに一気に先鋭化した日中問題も厄介だ。中国側は事件以降、丹羽駐中国大使を5回も呼び出して船長の釈放を要求する強硬姿勢だ。尖閣諸島問題は海底資源が絡む難解な問題だけに、中国側も簡単には譲歩しない。中国国内では反日デモを呼びかける動きまで出始めた。そのため、来週のニューヨークでの国連総会に出席する菅首相と中国の温首相との首脳会談は見送りとなってしまった。「外務官僚がいま首脳会談を行うのは得策ではない、と判断したのでしょう。しかし、こういうときだからこそ、菅首相が自ら相手国の首脳とサシで話をして解決の方策を模索すべき。それが政治主導でしょう。今の中国の出方には“日本を試している”といった見方も出ている。外交も官僚任せで、この政権は何もできないことを見抜かれたらおしまいですよ」(外交関係者)
米国の機嫌をうかがい、官僚の言いなりになることで、普天間問題は混迷の度を深めるばかり。日中関係も弱腰ばかりでは相手のペースにはまるだけ。外交オンチ政権では、国益は失われるばかりである。