役人ベッタリの仙谷が選んだ無為無策の留任組 (日刊ゲンダイ2010/9/18)

官房長官の仙谷由人(64)は、代表選当日の夜に自らが作成した主要人事案を菅に提案。「あとは総理が決めて下さい」と伝えたものの、ほぼ“仙谷人事”が受け入れられた。菅が渋っていた長妻厚労相と荒井国家戦略相の退任をのませ、留任を自分を含め5人に絞り込んだ。役人と結んだ仙谷主導というだけで、内閣のレベルが知れる。

閣僚名簿の発表でも、仙谷は「おまえが総理か!」と言わんばかりだった。記者から「目玉人事は?」と聞かれ、「片山総務相、馬淵国交相、玄葉国家戦略相、蓮舫行刷相」と答え、論評までしてみせた。
黒幕としての権力誇示には余念がないが、内閣のスポークスマンとしては失格だ。

つい最近も、為替介入で「82円が防衛ライン」を認めるような発言をして、金融界から批判を浴びたばかりだ。
財務相に留任した野田佳彦(53)は「経済無策」の代名詞である。円高を食い止めるため、代表選直後に為替介入に踏み切ったが、それまで「適切な対応を取る」とか「注視していく」を繰り返し、マーケットからも“無能”のレッテルを張られた男だ。

「自分の政策に自信がないから、野田さんは完璧に財務省の言いなりです。来年度予算の概算要求では『従来のシーリングに代わる方法を考えたい』と独自色を出そうとしていましたが、結局従来どおりの10%削減シーリングを掛けた」(政界関係者)
この先も、財務省の振り付け通り、財政再建や消費税増税を言い出すのが関の山だ。
行政刷新相の蓮舫(42)は、菅内閣の唯一のスター。能力には関係なく、広告塔としての役目があり、留任は鉄板だった。

しかし、代表選ではその人気を盾に、「小沢支持ならツーショットポスターに写真を使わせない」と言い放つ傲慢ぶりが鼻についたともっぱら。
蓮舫の唯一の見せ場である「事業仕分け」は、10月から特別会計を対象にした第3弾が始まる。「舌鋒鋭く官僚批判をするでしょうが、過去の仕分け同様、結局ショーに終わる」(自民党議員)という皮肉に反論することができるのか。

最大のナゾは、防衛相・北沢俊美(72)の留任だ。昨年の鳩山内閣発足時から、「安全保障政策オンチの北沢がなんで防衛相なんだ」と揶揄(やゆ)されてきた。入閣は今夏の参院選対策かと皮肉られ、普天間問題でも早々に米国寄りの発言をし、全く役に立たなかったのに、なぜ残したのか。「使いやすい大臣だと、防衛省が希望した」(民主党関係者)という見方に、うなずくしかない。

金融相の自見庄三郎(64)は、「日本の景気回復や経済成長に向け、金融の重みが増す中で、(金融分野での)経験が乏しい人が再任されるのはいかがなものか」(大手行幹部)とサッパリ。
連立内閣だから、国民新党からは、自見留任以外に選択肢はなかったかもしれないが、お寒い限りだ。