小沢捜査も「特捜の暴走」となぜ批判しない 特捜主任検事逮捕 証拠隠滅事件の教訓

(日刊ゲンダイ 2010/9/22)

小沢事件で検察の尻馬に乗り疑惑を煽る大新聞が「特捜捜査の根強い病巣」などとよく言うよ
捜査権の乱用なんて生易しいレベルではない。前代未聞の凶悪犯罪である。厚労省の村木厚子元局長に無罪判決が出た大阪郵便不正事件で、最高検はきのう(21日)、捜査を指揮した大阪地検特捜部の主任検事、前田恒彦容疑者(43)を証拠隠滅の疑いで逮捕した。大阪地検を揺るがした「冤罪事件」は、担当検事が最高検に逮捕される異常事態に発展した。

公訴権を持つ検察官が、供述調書のデッチ上げに加え、証拠まで「捏造」していたのだから驚愕だ。こんな男が「エース」と呼ばれる検察組織の“腐敗ぶり”は明らかだが、ヒドイのは大マスコミも同じ。今になって「特捜検察の根深い病巣」などと正義漢ヅラしているが、チャンチャラおかしい。大阪郵便不正事件で検察リークに乗ってイの一番に村木元局長に“疑惑”の目を向けたのは、他ならぬ大マスコミではないのか。

「今回、逮捕された前田容疑者は昨春の西松事件で逮捕、起訴された民主党の小沢一郎元幹事長の公設秘書だった大久保隆規被告の取り調べも担当しています。大久保被告は公判で容疑を否認し、検察側の証人も公判で証言を翻した。つまり、村木事件と構図が同じなのです。それなのに、なぜか大新聞・テレビはこの事件は静観したまま。それどころか、民主党代表選では必要以上に“政治とカネ”に焦点を当て小沢元幹事長を追い込んだのです」(司法ジャーナリスト)

松本サリン事件で冤罪報道の被害者となった河野義行さんは「報道機関が捜査当局のお先棒を担いでいる」と断じていたが、全くその通り。腐敗体質は検察組織と何ら変わりない。名城大教授で弁護士の郷原信郎氏はこう言う。
「特捜部というのは検察組織の中で『軍隊』。容疑者と“戦争”をしている兵士のような心理になり、これまでは捜査手法について細かなことを軽視する傾向にあった面は否めません。そんな特捜部を正義の味方のようにもてはやしてきたのが『従軍記者』と化したメディアだったのです」

検察も大マスコミも既得権益を守りたい旧体制の代表勢力。連中にとって小沢は自らの存在を脅かす天敵である。だから、単なる形式犯を一大疑獄事件のように扱い“小沢潰し”報道に明け暮れてきたのである。検察の犯罪的なデタラメがこれほど明らかになっても、いまだに小沢捜査の暴走を批判できない大マスコミは、検察腐敗の片棒を担いでいるのと同じである。