尖閣問題で「お手並み拝見」を決め込む外務省 丹羽中国大使が孤立

(日刊ゲンダイ2010/9/24)

事態がここまでコジれたもうひとつの背景
尖閣諸島での中国漁船衝突問題は、中国側の態度硬化がエスカレートする一方だ。閣僚級交流の停止、日本青年上海万博訪問団の受け入れ延期に続いて、ついにはSMAPのコンサートチケットまで発売延期ときた。
裏にあるのは、菅政権で、よりによって露骨な親米派、対中強硬派の前原外相が誕生したこと。小沢首相誕生に期待していた中国にしてみれば、二重の大誤算で、それが反日感情をエスカレートさせているというが、実はそれだけではないようだ。外交関係者が声をひそめて言うには、外務省が本気で問題を解決する気がないのである。
「中国大使が民間人出身の丹羽宇一郎氏だからです。外務省にしてみれば、貴重なOB天下りポストを民間人に奪われ、『冗談じゃない』の思いがある。丹羽さんにビジネスはできるだろうが、外交はできるのか。お手並み拝見というムードがあるのです。それでなくても、親米派が多い外務省は対中強硬派が多い。こうしたことが問題をこじれさせているのです」(外交関係者)
中国大使館の関係筋によると、丹羽大使は勝手なことをしないように監視されているような状態だという。
「個人的な言動を慎むように、課長級のキャリアの官僚が釘を刺している。丹羽さんは若手の外交官と意見交換することもままならないありさまです。中身があとで漏れるんですよ」
丹羽を引きずり降ろしたい外務省は、日中の対立を面白おかしく眺めている。大使が解決に動こうとしてもやらせないように仕向けている。これじゃあ、解決するものもできなくなる。
中国の怒り方も怪しいし、政治的だが、この問題の背景はあまりにも根深い。そこを中国側に見透かされているともいえる。