前原政権で長期“後見役”の野望 [最高権力者・仙谷由人 危険な正体]

(日刊ゲンダイ 2010/9/30)

故金丸や野中と同じ古臭い権力亡者

「菅の世話はもうイヤだ」

仙谷由人は菅政権を支える女房役ながら、ホンネでは菅首相にウンザリしている。中身のない“アキ菅”に加え、代表選では鳩山前首相に誘われトロイカ復活に乗り換えようとした“ブレ菅”だ。加えて、「これだけいろいろ尻拭いしてやっているのに、菅は『ありがとう』を言わない」(仙谷側近)ことも、仙谷をウンザリさせる理由だという。
仙谷が描く本当の勝負は、「年内、年度末にもやってくるであろう小沢との第3ラウンド」(前出の仙谷側近)だ。その時こそ、若手にバトンタッチさせると野望を燃やす。
「ポスト菅」として仙谷が想定する若手は、野田佳彦財務相と前原誠司外相だが、野田については、「決断ができない」ことを欠点とみている。

「小沢代表が無投票3選を果たした08年の代表選で、野田さんは出馬表明までしたものの、結局、断念した。小沢が強いのは分かっていたが、次世代のリーダーと党内外に認識してもらうためにも、仙谷さんたちは野田さんに『トライアルだから出ろ』と言ったのに、出なかった」(仙谷に近い関係者)
やはり意中の人物は前原だ。そのために前原グループである「凌(りよう)雲(うん)会」の会長を長年やってきた。前原を中心とした政権をつくり、今以上の黒幕として権力を振るうつもりだろう。次の首相候補で上位につける前原なら世論も味方に付けられる。単細胞でパフォーマンス好きな“お子ちゃま総理”なら、後ろで糸を引くのにちょうどいい。
結党以来の鳩・菅から抜けられない民主党で、仙谷は02年頃から若手への世代交代を叫んできた。「社会党は若い人の活力を取り入れられずに衰亡した」と、もっともらしい理由を挙げたこともあったが、自分はトップに立たず、若手の“後見役”として君臨する手法は、故金丸信・元副総理や野中広務・元官房長官と同じ。いかにも自民党的で古臭い。ただの権力亡者でしかない。

では、自らが首相になる野望はないのか。08年の代表選では、地元徳島の支持者に「時代が仙谷を求めるなら、さらなるご迷惑をかけるかもしれない」と出馬の可能性を匂わせたことがある。自民党の野中は、01年にポスト森の「救国内閣」を求められて手を挙げようとしたことがあった。待望論が出れば、仙谷だって分からない。
(おわり)