驚いた!尖閣諸島は私有地だった 地主はさいたま在住の結婚式場経営者
(日刊ゲンダイ 2010/10/1)

国の年間賃料は2450万円。で、大家に直撃してみた

漁船衝突事件でガ然、注目度が高まった尖閣諸島。日中両政府が「わが国の領土」とにらみ合いが続き、きのう(30日)の衆院予算委の集中審議でも、菅首相や前原外相は「尖閣諸島はわが国固有の領土」と強調していた。しかし、実はこの島、オーナーがいて、国が賃借料を払っている「私有地」だったことをご存じか。
沖縄・石垣島の北東に位置し、魚釣島、南小島、北小島、久場島、大正島の5島で構成される尖閣諸島。広さは全部合わせて河口湖ほどだが、69年、国連の調査で地下資源が確認されるまでは、誰も注目していない“タダ同然”の島だった。

「もともと尖閣諸島を開拓したのは福岡県八女市出身の実業家である古賀辰四郎氏。古賀氏は明治時代初期の1870年代後半、八女茶の販路拡大のために沖縄に進出。高級ボタンの材料になる夜光貝に目を付け、殻を海外に輸出して莫大な富を得た。その資金を元手に東シナ海の島々の開拓に乗り出し、1895(明治28)年、政府から尖閣諸島を無償貸与されました。カツオ節工場やアホウドリの羽の加工場を設け、一時は280人余りの島民が暮らしていました」(沖縄県在住の郷土史家)

島はその後、1932(昭和7)年に辰四郎氏の長男、善次氏に当時の価格で1万5000円(現在なら約2500万円相当)で払い下げられた(大正島を除く)ものの、第2次大戦の物資統制による燃料不足などで島での事業は中止を余儀なくされ、1940年代前半に無人状態に。戦後は善次氏の妻が島を所有し、70年代に入って間もなく、古賀家と親交があった埼玉県内の結婚式場経営者A氏に約4600万円で譲渡されたのである。
「国がA氏と賃借契約を結んだのは02年4月です。賃借権者は総務省で、年間の賃借料は南小島が188万円、北小島が150万円、魚釣島が2112万円で、しめて計約2450万円。これまでにざっと2億円以上のカネを払った計算になります」(事情通)

渦中の尖閣諸島が「借地」 だったとはビックリである。島の「所有者」であるさいたま市在住のA氏は今回の騒動をどう思っているのか。なんでも所有後は尖閣諸島に1回しか行っていないらしい。自宅に電話すると、奥さんとおぼしき女性が電話口に出たが、急に「私は留守番の家人」と言いながらこう答えた。
「詳しい話は内閣官房に聞いてください。この件は海外のジャーナリストからも取材がきていて……。家には誰もおりません。何も申し上げられません。失礼します。お体に気をつけて」
領土問題が燃え上がれば燃え上がるほど、このA氏が注目を浴びることになりそうだ。