枝野幹事長代理の無責任発言に経済界カンカン (日刊ゲンダイ2010/10/4)

「中国進出企業は自己責任でやれ」

枝野幸男幹事長代理(46)の対中国強硬発言に企業関係者は怒り心頭だ。2日にさいたま市で行った講演で、枝野は中国を「あしき隣人」と呼び、「中国に進出した企業は自己責任でやってもらわないと困る」「経済的なパートナーシップを組む企業はお人よしだ」と言い放ったのだ。
ある上場企業の幹部がこう言う。
「確かに中国は法律があってないような国です。リスクがあるのはわかる。しかし、いまや中国なくして日本経済は成り立たなくなっているのも事実。だいたい、日中関係をここまで悪化させたのは、政府の対応のまずさがあったからでしょう。仙谷官房長官は、初動の対応を見誤ったことを、会見で認めたじゃないですか。枝野さんは政権与党の執行部の一員なのに、自分たちの失敗を棚に上げて、『自己責任でやれ』なんて企業に責任を押し付けるのはおかしいでしょう」
09年の日本の貿易総額に占める中国のシェアは20・5%で、2位の米国(13・5%)を大きく上回っている。中国に進出している企業は、JETROによれば08年末で2万5796社。東証1部上場企業では実に60・1%もが中国に拠点を置いているのだ。
政府が熱心にやっている「ビジット・ジャパン事業」だって、ターゲットは中国だ。今年7月のビザ発給緩和で中国人観光客は去年の2倍以上に増え、デフレ不況に喘ぐ百貨店を潤している。
日中ビジネスは、もはや個々の企業レベルの話を超えている。枝野の発言はあまりに無責任だ。
3日になって、前原外相が「日中間はこれから良き隣人として共存共栄の道を探っていくべき」と発言し、岡田幹事長が「中国は重要な国だ」と強調したりと、枝野発言をカバーしようと躍起になっているが、いまさら遅いというものだ。枝野は、中国人の悪口を言えば国民の支持を得られると思っているのだろうが、戦略もなく、勝手に物を言う民主党幹部連中に、国民はますます愛想を尽かしていくだけだ。