小沢の政治生命は終わりか [疑惑まみれ 小沢強制起訴]  (日刊ゲンダイ 2010/10/5)

審査会が民主党代表選の9月14日に議決した裏側

─いま検察捜査の囂々たる批判非難の中で検察審査会というシロウト集団が大阪特捜部前田事件以前に起訴判断した重大な疑惑

─最高裁までの長期裁判の中でこの国の政治はどこへ行くか

検察審査会から2度目の「起訴相当」議決が出された小沢一郎元幹事長に対し、野党はさっそく「議員辞職だ」「証人喚問だ」と騒いでいる。民主党内からも牧野聖修みたいなバカが「離党勧告か除名」などと吠えていたが、この議決にはゾッとする。策略のにおいがプンプンするからだ。
世間には囂(ごう)々(ごう)たる検察批判が渦巻いている。そんな中、シロウト集団がよくぞ、「起訴議決」を出せたものだと思ったら、議決は先月14日に行われ、しかし、発表を20日間も伏せていたのである。
14日といえば、民主党の代表選当日だ。なぜ、こんな日に議決をしたのか。しかも、議決を出した11人のメンバーの半数は今夏入れ替わったばかり。その前からのメンバーも任期は今月いっぱいまである。何も結論を急ぐ必要はないのである。

「どう見たって官邸の策略でしょう。代表選では小沢氏の政治とカネの問題がウンザリするほど報じられた。その熱が冷めやらぬうちにやりたかったのですよ。とはいえ、小沢さんが首相になったら、起訴相当は出しにくい。だから、代表選当日の14日に出したんです。何が何でも小沢氏を潰したい菅・仙谷一派のヘビのような執念を感じる。たとえ、自分が代表選に負けても、小沢氏だけは葬りたいということでしょうね」
こんな見立てをしたのは、ある衆院議員である。


◆日本人が被告人だらけになってしまう
別の政界事情通は「官邸と司法の利害が一致した結果」だと言った。
「朝日新聞が大阪地検の前田主任検事証拠改ざんを報じるのは9月21日です。これ以降だったら検察審査会の結論も変わっていたでしょう。朝日から取材を受けていた司法当局は当然、前田の一件が報じられることを知っていたはずです。だから、その前に検察審査会の結論を急がせた。小沢氏を潰したい霞が関=検察・司法当局と官邸の思惑がピタリと一致したわけです」

ふざけた話だ。こんな謀略が裏にあるとしたら、検察審査会は国民を欺くダミーのようなものだ。しかも、議決理由を読むと、そのいい加減さに驚く。要するに、「疑わしきは裁判しましょう」という結論なのである。民主党衆院議員で弁護士の辻恵氏は「ひどい内容だ」と切り捨てた。
「検察審査会は文書を読んだだけで、その証言が信用できるか否かを決めている。そうやって、元秘書の『小沢氏に報告、相談した』という部分だけは信用できると結論付けた。なんで、そんなことが分かるのでしょう。裁判官だって、証人への尋問を繰り返し、初めて証言の信憑性を判断するのです。あまりにも無責任ですが、検察審査会は『疑わしきは起訴して裁判所が判断すればいい』という姿勢で起訴相当の議決を出した。日本では被告人になると、重大な不利益を被る。だから、証拠を集めて慎重に起訴するのに、こんな乱暴なことをされたら、日本中が被告人だらけになりますよ」

誰が検察審査会を暴走させたのか。そこには明らかな意図を感じるのである。