国会は「政治とカネ」より景気対策をやれ [疑惑まみれ 小沢強制起訴]

(日刊ゲンダイ2010/10/5)

案の定、野党は「強制起訴」に勢いづいている。「小沢は証人喚問に応じろ」と大合唱である。
自民党の谷垣総裁は、「政権側は説明責任が尽くされたと言ってきたが、責任は極めて重い」と喚問に応じるよう要求。逢沢一郎国対委員長は「自民党であれば当然、議員辞職、あるいは党を離れてもらう」と鬼の首でも取ったかのよう。菅首相が秋波を送る公明党も、「民主党は積極的に解決する姿勢が見られなかった」(山口代表)と突き放しているから、臨時国会は、この問題をめぐり大荒れ必至だ。総額4兆8000億円に上る補正予算案の審議も後回しである。
日本経済の現状を考えれば、5兆円足らずのカネでは足りないが、成立しないのはもっと悪い。明大教授の高木勝氏(現代経済)が言う。
「9月の日銀短観を見ても、回復を牽引してきた企業が、この先の冷え込みを予想している。国会は、一日も早く補正予算案を成立させ、執行させないとダメ。野党各党は小沢さんの問題でワーワー騒ぎ、政権を揺さぶろうと画策しているのでしょうが、経済状況を考えれば、許されることではありません」
11月2日に中間選挙を控える米国の圧力も予想されている。「米国は、不当に安い中国の人民元を問題視し、下院で制裁法案を可決した。今後、日本の円売り介入もターゲットにされる危険性がある」(みずほ証券エクイティストラテジスト・瀬川剛氏)
かといって、介入しなければ、円は15年前につけた最高値79円75銭の更新に向けてまっしぐら。日本経済はのるかそるかの状況なのだ。
そんなときに、イの一番で取り上げられるテーマが「政治とカネ」とは国民を愚弄している。野党が「ケシカラン」と騒ぐ根拠は、シロウト集団の議決にあるのだからなおさらだ。得体の知れないモノに振り回される政治はゴメンである。