小沢裁判はどうなるか専門筋に聞く [疑惑まみれ 小沢強制起訴]

(日刊ゲンダイ2010/10/5)

小沢事件は今後、東京地裁指定の検察官役の弁護士が政治資金規正法違反罪で起訴する手続きに入る。しかし、公訴権を持つ検察がメンツをかけて1年余り捜査し、立件を断念した事件である。裁判はどうなるのか。
そもそも今回、起訴相当と議決した“唯一”の理由は、秘書の供述調書を材料に「小沢氏を尊敬し師と仰いでおり、関与を強めたり、罪に陥れたりするための虚偽供述をするとは考えがたい」というもの。要するに「尊敬する師匠に不利なことを言っているから真実」という“暴論”である。信用性が大きく揺らいでいる特捜検察の供述調書だけをうのみにし、起訴、裁判に持ち込むには最初からムリがあるのだ。前出の郷原信郎氏はこう言う。
「検審の議決書はメチャクチャです。起訴相当判断に至る理屈がなっていないし、政治資金規正法についても理解しているとは思えません。そもそも検察が小沢氏を起訴しなかったのは、積極的な指示、関与を立証できないと判断したからであり、認識の有無ではない。証拠もなく、マトモな公判になるとは思えません」
起訴前から破綻が予想されている裁判が開かれるのも異常だが、このまま進むとどうなるのか。「指定弁護士は起訴状ぐらいは書くだろうが、証拠がないから、供述調書など検察が集めた捜査資料すべてを洗いざらい法廷に出すことになるでしょう。すると捜査のアラもすべて明らかになる。公判前整理手続き、公判と進むにつれて、真っ青になるのは検察の方ではないか」(郷原信郎氏=前出)
裁判は来年にも始まるとみられる。ヘタをすれば最高裁までもつれて長引くかもしれないが、秘書の裁判でズサン捜査が明らかになったり、無罪判決が出たりすれば、小沢事件は論告・求刑放棄の可能性も浮上してくるのだ。