検察審のズサンな正体 (日刊ゲンダイ2010/10/8)

「冤罪」を生み出してきた無責任の歴史

─「無罪率」は通常の6倍
これまで検察審は、取り返しのつかない「冤罪」をいくつも引き起こしてきた。
たとえば、1974年に兵庫県の児童施設で園児2人が死亡した「甲山事件」だ。兵庫県警は施設の女性保育士を逮捕したが、神戸地検は嫌疑不十分で「不起訴」とした。強制起訴がない旧制度下の事件だったが、検察審が「不起訴不当」と議決したため、神戸地検が78年、殺人罪で「起訴」した事件だ。
「甲山事件は典型的な冤罪事件でした。検察がどんなに調べても証拠はなかった。シロウト集団の検察審が『不起訴はおかしい』と議決したために、神戸地検は女性保育士を再逮捕し、無理やり起訴してしまったために、最終的に無罪が確定したのは、事件発生から25年後のこと。事件当時22歳だった保育士はこの年には48歳になっていた。5回の裁判を通じて一度も有罪判決は下されませんでした」(司法事情通)
検察審による「冤罪」は甲山事件だけじゃない。「岡山遊技場放火事件」など、冤罪につぐ冤罪の歴史だ。検察審の議決を受けて起訴された事件の「無罪率」は、なんと通常の6倍以上である。
ここまでズサンな検察審の実態は闇に包まれているが、どんな形で審議しているのか。
─TV見て、「この事件やろうか」のノリ
「検察審は全国の地裁の所在地などに計165置かれています。検察審のメンバーにクジで選ばれると毎週火曜日など定例日に集まって審議する。普通は申し立てがあった時に審査を始めますが、申し立てがなくても審議できる。審査員がテレビのニュースやワイドショーを見ながら『この事件でもやろうか』と始めることもあるようです。また、それが許されています。審査員に選ばれれば、日当8000円がもらえるし、旅費、宿泊費も出してくれる。法律知識がゼロでも事務局がお膳立てをしてくれる。どんな間違った議決をしても匿名に守られているし、責任を問われないので気楽にやれるのです」(法曹関係者)
最強の捜査機関「東京地検特捜部」がお手上げだった小沢本人の政治資金規正法事件。強制起訴されても「無罪」となるのは確実で、また同じ過ちを繰り返そうとしている。「冤罪」の元凶になっている検察審をこのまま野放しにしていていいわけがない。