デタラメ検察審は「会議録」を公開しろ  (日刊ゲンダイ2010/10/14)

小学生レベルの計算間違って「表計算ソフトを導入」だって

─民意の反映を検証できない致命的欠陥

民主党・小沢元代表の議決に絡んだ審査員11人の平均年齢を間違っていたと発表した検察審査会。10人分の年齢の合計を「11」で割ってしまったというがミスはこれだけではなかった。この簡単な作業で、なんと、2回もヘマをしていたという。

当初発表された平均年齢「30・9」歳に11を掛けると、およそ「340」になる。一方、その後発表された平均年齢「33・91」歳に11を掛けるとおよそ「373」。「373」と「340」の差である「33」が見落とされた審査員の年齢になるはずだ。
しかし、実際には、抜け落ちた審査員の年齢は37歳。一体、どうなっているのかと思ったら、生年月日から年齢を割り出す際にもミスがあった。計算のベースとなる審査員の年齢からして取り違えていたのだ。「個人情報保護の観点から、年齢の把握から検算までを1人の事務局スタッフが担当したため、間違いに気が付かなかったのです。小学生でもやれるような計算ではないか、とのお叱りをちょうだいしていますが、それも当然。今後は、別の者が検算をするダブルチェックやパソコンの表計算ソフトを導入し、人為的なミスが起きないようにします。ただ、審査員の平均年齢は常に算出しているわけではありませんし、ミスしたスタッフも普段は違う事務を担当しています。もちろん、言い訳ですが……」(東京第5検察審査会担当者)

いやはや驚いた。小学生レベルの計算ができないような組織と、社会経験が乏しい20代の審査員が、被疑者に重大な負担を強いる「公訴権の実行」に関与する――。これは恐ろしい現実だ。

衆院予算委で検察審問題を追及した民主党の川内博史議員が言う。
「検察審の起訴強制には検察が独占していた公訴権の実行に民意を反映させるという趣旨があります。それなら、一体どのように民意が反映されたのか、検察審の会議録で検証する必要がある。検察審査会法は『検察審査会議を公開しない』と定めていますが、『会議録はつくらなければならない』し、公開を妨げる規定もありません。情報公開は民主主義の基本。審査員の氏名など個人情報を保護した上で公開すべきなのです」
法律は、審査補助員の弁護士が審査員の自主的な判断を妨げることを禁じている。しかし、すべて非公開なら、妨げたかどうかも分からない。

同じく「民意の反映」で始まった裁判員制度は、裁判員が顔をさらしながら評議に加わる。一方の検察審は秘密主義を貫き、やりたい放題。この国には民主主義の常識が通用しないのだ。