検察審議決は憲法違反濃厚の重大事  (日刊ゲンダイ2010/10/15)

小沢きょう提訴 裁判所が門前払いしたらこの国はオシマイ

民主党の小沢元代表がきょう(15日)、行政訴訟を東京地裁に起こす。例の強制起訴を決めた東京第5検察審査会の起訴議決を無効とするものだ。検察審議決は過去の最高裁判例で行政訴訟の対象にならないとされている。弁護士でもある仙谷官房長官もきのうの会見で「(検察審議決は)行政訴訟法の処分に該当しない」とシタリ顔で解説していた。だが、本当にそうなるのか。大ドンデン返しの結論が出る可能性が十分にあるのだ。

◆「もう一度やり直し」も大あり

「検察審議決に対する行政訴訟は可能です」――。こう言うのは学習院大法学部教授の桜井敬子氏(行政法)だ。
桜井氏によると、検察審の任務は検察官と同様、事件を裁判所に持ち込むという「行政作用」であり、行政作用による「処分」であれば取り消し(訴訟)が可能――という。今回の議決の場合、①起訴議決の取り消し訴訟と執行停止の申し立て②「検察官役」になる指定弁護士の指定処分の差し止め訴訟と仮差し止め――などの手段が考えられるといい、小沢弁護団も東京地裁が進めている指定弁護士の手続き中止を求める方針だ。
さらに桜井氏は、今回の議決は「憲法違反に当たるのではないか」とも言う。

「憲法31条は『刑罰を科すには適正手続きによる』と規定し、検察官が起訴する場合もきちんとした理由を示している。ところが、検察審には判断基準がなく、多数決で起訴を決める『完全自由裁量』のようです。今回のような(犯罪事実が勝手に加わった)理由なき起訴が許されれば憲法違反と言わざるを得ません」
東京第5検察審の強制起訴議決について、一貫して「無効」を主張してきた名城大教授で弁護士の郷原信郎氏はこう語る。

「裁判所も、今回の議決があまりにヒドイ内容と分かれば、検察審に対して再検討を促すかもしれません。勝手に付け加えられた犯罪事実で強制起訴するのはメチャクチャだからです。検察審自体が職権で、議決をやり直す可能性もあります」
こんな問題だらけの強制起訴。小沢が「無効」の提訴をするのは当然であり、それを門前払いするようなら、この国にはまともな裁判所は存在しないことになってしまう。