起訴の前特捜部長「一片の私心もない」 弁護団保釈請求
(朝日新聞 2010年10月22日22時29分) http://p.tl/3WEx


 大阪地検特捜部の前部長らが部下による押収資料の改ざんを隠したとされる事件で、犯人隠避罪で起訴され、否認している前部長の大坪弘道被告(57)=懲戒免職=の弁護団が22日、大阪市北区で記者会見した。弁護団は、大阪拘置所に勾留(こうりゅう)中の大坪前部長の「一片の私心もなかった」とする談話を読み上げた。

 前部長と元副部長の佐賀元明被告(49)=同=は1月末~2月上旬、元特捜部主任検事の前田恒彦被告(43)=懲戒免職、証拠隠滅罪で起訴=が郵便不正事件の証拠品のフロッピーディスク(FD)のデータを改ざんしたと把握。しかし、改ざんを知る同僚検事らに口止めしたり、地検トップの検事正らに「問題はない」と虚偽の報告をしたりしたなどとして、21日に起訴された。

 会見した弁護団の田宮甫(はじめ)弁護士は「公判で検察官同士の『泥仕合』が明らかになるのは耐え難い」と語った。

 また、弁護団は会見に先立ち、大坪前部長の保釈を大阪地裁に請求した。大坪前部長と同様に起訴内容を否認している佐賀元副部長側も22日、保釈を求めた。地裁の決定は25日以降になる見通し。

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 大坪弘道・前大阪地検特捜部長の弁護団が22日の記者会見で読み上げた前部長の談話の内容は次の通り。

 特捜部長在任中、(厚生労働省元局長で無罪判決が確定した)村木(厚子さん)事件の捜査終結後、(証拠隠滅罪で起訴された)前田(恒彦)元主任検事がひそかに証拠品のフロッピーディスクのデータを改ざんするという、にわかに信じがたい事件を起こしました。これにより、検察捜査への信頼を大きく失墜させるとともに、多数の関係者に多大なご迷惑をおかけしたことにつきまして心からおわび申し上げ、監督者としての責任を痛感しております。

前田元検事によるデータ改ざんは、今でも魔が差したとしか考えられません。私の厳しさと彼への期待が彼を追い込んだとしたら、申し訳ない気持ちであります。

 前田元検事の改ざん事件に端を発し、佐賀元明・元特捜部副部長とともに逮捕されましたが、事件の対応については、私たちには一片の私心もなかったことを明確に申し上げたいと考えております。

 検事任官以来、日夜努力を傾注し、長じては検察組織のため、いささかなりとも貢献し得たとのささやかな自負を持っております。このような形で検察を去ることになり、誠に残念です。