ヨレヨレ町村元官房長官をアッサリ勝たせた 菅政権の体たらく

(日刊ゲンダイ2010/10/25)

北海道5区 衆院補選 民主惨敗

【衆院北海道5区補選得票数】

当 125,636 町村 信孝 自前
94,135 中前 茂之 民新
15,583 宮内 聡 共新
2,697 河村美知子 無新
2,325 森山 佳則 諸新
有権者は何もしない、できない菅政権に再びノーを突きつけた。きのう(24日)投開票が行われた衆院北海道5区補欠選挙。菅改造内閣になって初の国政選挙だった。その大事な戦いで、38歳の民主新人候補・中前茂之があの町村元官房長官(66)に惨敗したのだ。最終結果は町村(12万5636票)が中前(9万4135票)に3万票以上の大差をつけた。投票率は53・48%で昨年の総選挙を22・84ポイントも下回った。
町村は派閥の領袖でありながら、昨年の総選挙では民主の小林千代美(議員辞職)に3万票もの差をつけられて敗れ、比例復活で辛うじて議席を維持していた。そんなヨレヨレの“過去の政治家”にあっさり負けてしまったのだから、菅政権はだらしなすぎる。
「参院選に続く敗北ですから、有権者の菅政権に対する拒絶反応はますます強まっているとみていい。最近も中国漁船衝突事件をめぐるデタラメな対応や、円高への無力、補正予算の中身のなさ、陰の総理・仙谷官房長官の傲岸不遜ぶりなど、菅政権のあまりにひどい実態が連日のように明らかになっている。民主党を支持した人たちが、どんどん離れていくのも当然。それが今回の投票率と選挙結果にあらわれたのです」(政治評論家・本澤二郎氏)

◆トップは一度も応援に行かず負けたら小沢に責任転嫁
だいたい、菅民主党の今回の選挙への取り組み自体がいい加減だった。自民は谷垣総裁が16日に現地入りし、9カ所で演説する熱の入れよう。その後、石原幹事長、石破政調会長、そして人寄せパンダの小泉進次郎が続々と北海道に渡った。
これに対し民主は岡田幹事長、蓮舫行政刷新担当相らが応援に駆けつけたが、トップの菅首相はついに一度も現地入りしなかった。
「衆参の補選の応援に駆けつけなかった首相は、低支持率・不人気にあえいだ森元首相以来です。負け戦の責めを負いたくなかったのですよ。選挙応援を閣僚や党幹部任せにした菅首相に対し、党内からは“逃げ菅”と批判する声も出ています」(政界関係者)
今回の惨敗に対し、党内からはさっそく「政治とカネの問題も敗因だ」(渡辺周選対委員長)、「中国漁船衝突問題や小沢元代表への起訴議決も影響した」(幹部)と、責任を小沢に転嫁しようとする声が出始めている。菅政権や執行部の責任をタナ上げして、何を言っているのか。こんなことだから菅民主党は愛想を尽かされるのである。

◆無党派5割、町村に投票
衆院北海道5区補選で時事通信社が実施した出口調査によると、無党派層の52・5%が町村信孝(自民)に投票し、中前茂之(民主)への投票は32・2%にとどまった。従来、民主党に流れる傾向が強かった無党派層の支持を得たことが、町村当選の要因のひとつとなったようだ。
町村は自民支持層の95・8%、公明支持層の82・4%から得票し、中前も民主支持層の86・4%から票を得た。昨年の衆院選比例代表の出口調査(全国)では、無党派層の54・0%が民主党に投票(自民は16・4%)しており、今回は無党派層の「民主離れ」が顕著だ。
菅内閣を支持するとした人は全体の51・9%、不支持は29・8%だった。内閣支持層のうち、58・6%が中前氏に投票したが、34・5%は町村氏に票を入れた。