衆議院・予算委員会

第2号 平成22年10月12日(火曜日) http://bit.ly/6Y4utC


○川内委員 いずれにせよ、検察の方々は、いつも私も刑事局長にも申し上げていますけれども、非常に優秀な方たちが集まって、社会の正義あるいは治安を守るために頑張っていただいているというふうに思います。しかし、それが組織としてある一つの事件をつくり上げてしまうことがあるのだということが、今回、国民の皆様に検察に対する信頼を失わせてしまうことにつながっているわけで、みんなでもう一度検察のあり方を考えていく、その信頼を取り戻していくということが必要だというふうに思いますし、私どもも、そのためのさまざまな提案あるいは意見というものを申し上げてまいりたいというふうに思います。

 そこで、もう一つ、最近、国民の皆様方の間で、ああ、そういう組織があったのかということで話題になっている検察審査会のことについてお尋ねをさせていただきたいと思います。特に、検察審査会の情報公開について聞かせていただきます。

 十月四日、東京第五検察審査会は、私どもの元幹事長である小沢一郎さんに、二度目の起訴すべきであるという議決を行いました。九月十四日の民主党代表選の日に議決がなされ、二十日後の十月四日に議決書が作成されたこと、審査員が十一名で平均年齢が三十・九歳と非常に若いこと等々、いろいろな疑問や議論がメディア等を通じて行われております。

 また、当予算委員会におきましても、野党の先生方からは小沢一郎さんに対する証人喚問が求められているわけでございますが、まず、この検察審査会での議決というものが一体いかなる過程を経て行われたのかということは、私は、公訴権を独占している検察に対して民意を反映させて公訴を提起できるようにするのだという検察審査会の考え方そのものは大変すばらしいことだというふうに思います。しかし、民主主義の原理原則は情報公開であるということも一方で言われる。民意を反映させるのであれば、情報がしっかりと公開をされ、ああ、なるほど、そういう過程で議決がされたのだねということがだれの目にもわかるようにしていくことが大切であろうというふうに思います。

 そこで、まず事実関係をお尋ねいたしますが、第五検察審査会の議決の要旨には、起訴事実の要旨、要するに、検察が、特捜部が小沢一郎さんを不起訴にした、その起訴事実の要旨と、さらにこの検察審査会が起訴すべきであるとしている犯罪事実とは一致していないということを、これは事実関係として明らかにしていただきたいと思います。

○西川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、御指摘の事件について、東京第五検察審査会が起訴議決をした議決書の要旨における被疑事実の要旨、それから起訴すべきという犯罪事実、これについて比較をいたしますと、若干の金額の違いを除けば、犯罪事実には、虚偽記入の内容として、被疑事実の要旨には記載がない、陸山会が平成十六年十月に被疑者から四億円の借り入れをしたにもかかわらず、その旨を平成十六年分の収支報告書に記載しなかったという旨の事実が記載されていると承知をしております。

 この部分が違うということだと思います。

○川内委員 私が聞きたかったのは、被疑事実の要旨に書かれていることと犯罪事実として検察審査会が指摘していることとは一致しないということを確認したかったんですけれども、それでいいわけですよね。ちょっと、それでいいですということを。

○中井委員長 西川さん、ちょっとあなた、語尾が聞こえにくいよ。きちっと発言して。

○西川政府参考人 はい、わかりました。

 今委員がおっしゃられたとおりでございます。違いは、先ほど申し上げたとおりでございます。

○川内委員 もちろん、審査員の皆さんの個人情報というものは厳に保護されなければならない、これは裁判員裁判でもそうでございますけれども、しかし、裁判員裁判の制度の導入と軌を一にしてこの検察審査会の制度というものは、要するに強制起訴の改正というものは導入をされた。裁判員裁判は何度も試行を繰り返し、そして導入をされた。しかし、この検察審査会の強制起訴の制度というものは、裁判員裁判の制度の陰に隠れて、裁判員裁判の裁判員の皆さんは必要に応じて記者会見をすることもあるし、もちろん裁判自体は公開の場で行われるという大きな違いがあるわけでございます。

 ここで法務省にお尋ねいたしますが、私は、検察審査会の発言者の氏名は伏せた上で、会議録は公開をすべきであるというふうに思います。

 検察審査会法では、二十六条で検察審査会議は公開しない、こう書いてございます。しかし、二十八条一項では、会議録をつくらなければならないと規定しています。

 会議録をつくるということは、その会議録を読むことを前提としているわけでございますから、まず事実確認をさせていただきますが、会議は公開しないと法律に書いてある、会議録も公開しないというふうに法律に書いてありますかということを確認させてください。

○西川政府参考人 お答え申し上げます。

 会議録を公開しないと定めた規定はございません。

○川内委員 会議録を公開しないという規定がない以上、会議録は一定の条件のもとで公開するというのは、法律を改正しなくても現行法のままで法律上可能であるというふうに思いますけれども、法務大臣に御見解を求めたい。

 検察審査会法の有権解釈権は法務大臣にございますので、法務大臣が、個人情報を厳に保護した上で、この会議録については公開するよというふうにおっしゃっていただければ、検察審査会議でどのような議論が行われたのかということについて検証をすることが可能になります。いかがでしょうか。

○柳田国務大臣 そもそも、検察審査会議が非公開とされている趣旨は、一つ、検察審査会の審査が起訴前の手続であるため、被疑者その他の関係人の名誉の保護にとりわけ意を用いる必要があること、一つ、捜査の延長としての側面もあるため、捜査の秘密を保護する必要があること、一つ、審査を公開すると自由な討論が妨げられ、あるいは他から不当な影響を受けるおそれがあること等という理由に基づいております。

 審査会議自体を非公開としても、会議録が公開されると、今述べたような審査会議の非公開の趣旨が損なわれることから、会議録の公開は検察審査会法第二十六条の趣旨から許されないというふうに解しております。

 ただ、川内委員の御発言もいろいろと考えさせるところがありますので、個人的にはしっかりと考えていきたい、そう思っております。

○川内委員 今の答弁は、めちゃめちゃいいですよ。そこで終わっちゃったら、法務大臣の政府見解として会議録を公開しないことが定まっちゃいます。しかし、考えますとおっしゃっていただいたので、しっかり考えていただいて。

 なぜ私がこんなことを申し上げるかというと、検察審査会法には、三十九条の二で、審査補助員となった弁護士が審査員の「自主的な判断を妨げるような言動をしてはならない。」と書いてあるんですね。では、条文に「してはならない。」と書いてあるけれども、どう担保されていますか。刑事局長、教えてください。審査補助員が……

○中井委員長 その前に、先ほど法務大臣は個人的にと言われたけれども、こういう予算委員会の場は、個人的な発言というのはないと思いますから、もう一度、法務大臣としてどういうおつもりか御答弁いただきます。

 柳田法務大臣。

○柳田国務大臣 法務大臣としては、公開はできないというふうに考えております。一国会議員として……

○中井委員長 もうそれ以上は。

○柳田国務大臣 大きなテーマであるというふうに考えておりましたので、先ほどのような答弁をさせてもらった次第であります。

○川内委員 法務大臣、検察審査会法には、三十九条の二で、審査補助員となった弁護士が審査員の「自主的な判断を妨げるような言動をしてはならない。」こう書いてあります。この「言動をしてはならない。」というのは法律上どう担保されていますかということを、刑事局長、教えていただけますか。

○西川政府参考人 委員御指摘のとおり、検察審査員につきましては、独立して判断を行うということになっておりますので、検察審査員の議論について介入することはできないということになっております。

 これは補助員がどうなのかということでございますけれども、補助員の人は弁護士さんでございますので、その趣旨を十分わきまえて、当然その審査補助員の役割を果たしていただく、そういうことになっておりますということでございます。

○川内委員 妨げてはならないと書いてあるけれども、まあ多分、弁護士さんだからそうしてくれるでしょう、大丈夫ですわ、こういう答弁だったわけですけれども、それは実は、この検察審査会法の改正のときのパブリックコメントでこういうコメントを寄せていらっしゃる方がいらっしゃるんですね。

 私がかつて裁判所書記官として浦和地方裁判所に勤務していた当時の体験であるが、選任された委員の中には、さまざまな職業の人がいて、検察官の不起訴処分の当不当を判断する常識を持ち合わせていない人もまじっていたことは事実であると。そして、検察審査会の事務局長は地方裁判所の事務局長など、裁判所職員が兼務しているから、審査会の運営は事務局長がリードして委員の意見を一定の方向に導くことがなかったとは言えない、こういうパブリックコメントが来ているんですね。

 私は、こういうパブリックコメントを読んで、では、どうやってそういう国民の皆さんの意見というものをミスリードしない仕組みをつくるのであろうかということを問題意識として持ち、お尋ねをしているわけでございます。

 先ほどは法務大臣に名前を伏せて会議録を公開してくださいというふうに申し上げました。そうしたら、まあ法務大臣としてはなかなか難しいねという御答弁であったわけでございますけれども、それでは、審査補助員あるいは事務局長の発言だけでもいいですから公開をしていただけませんでしょうか。

○柳田国務大臣 同様の趣旨で公開は難しいと考えます。

○川内委員 なかなか難しいようですけれども、ここで委員長に求めたいと思いますが、先ほど私が要求をさせていただきました村木さんの事件に関して、逮捕時、大阪地検、大阪高検あるいは最高検が協議をした際の協議資料の提出を本委員会に求めさせていただきたい。

 もう一点。法務大臣としては、いや、政府としては出せないということでございますが、検察審査会の議事録について個人情報を保護した上で本委員会に提出を求めたい。委員長のお取り計らいをいただきたいと存じます。

○中井委員長 後刻、理事会で協議をいたします。