「菅政権」外交もダメ 内政はもっとダメ  (日刊ゲンダイ2010/11/5)

もし小沢が総理だったら

─やっぱり小沢なき民主党政権では内政も外交も経済も何もかも稚拙で、この国はドンドン劣化するという予想は杞憂ではなかった

─菅、仙谷のダメ内閣を見せられてつくづく思う民主党の亡国的選択


◆国と国民のための本当の政治家なら、自らの無能を知って首相を辞任するのがスジだろう

小沢一郎率いる大訪中団が取りやめになった。恒例行事だったが、中国側が「今はその時期ではない」と断ってきたそうだ。
驚くのは、日中関係がこんな微妙な時期にもかかわらず、小沢が気にもせず訪中を予定したことだ。ここが小沢の凄いところである。スッカラ菅首相では逆立ちしても出てこない大胆不敵さ。これだと、中国側も小沢という政治家を強く意識せざるを得ない。尖閣諸島のイザコザだって、小沢が政権の中心にいたら、起きていなかっただろう。実際、時事通信は、中国の共産党関係者の言葉として、「小沢氏が最高実力者として健在ならば、こんなに日中関係は悪化しなかった」と報じた。そういうことなのだ。一国の政権というのは、経験や能力に裏打ちされた重みと貫禄が不可欠なのだ。
「中国が尖閣問題を仕掛けてきたのは、相手が弱体の菅内閣なら何も対応できないだろうと読んだからです。その読み通りに、菅首相や仙谷官房長官はオロオロするだけだった。それを見て、今度はロシアが北方領土でちょっかいを出してきた。いいように見下されているわけです。対応能力がない菅首相や前原外相はますます官僚に頼るしかない。でも、官僚は巧妙だから、いつまで持つか分からない政権には距離を置く。情報も上げなくなる。菅内閣は外務官僚にもナメられているのです。少なくとも小沢氏が政権をまとめていれば、こんなみっともないことはなかったはずですよ」(政治評論家・山口朝雄氏)



◆このままだと本予算組めず恐慌に…

困った菅内閣は“寄らば大樹の陰”で米国にスリ寄っているが、ここでも軽く見られ、ドル安・円高政策とTPPの無理難題を押し付けられてアップアップだ。やることがすべて稚拙。バカ丸出しである。
それで大新聞テレビは、「外交が大変」と騒いでいるのだが、もっと大変なのが内政だ。外交のイロハを勉強するのに精いっぱいの菅や仙谷に、国内政治まで神経が回るはずがなく、ほったらかし状態になっている。補正予算はいつ成立なのかメドが立たず、財源探しの肝だった特別会計の仕分けも単なるセレモニーで終わってしまった。
ヤル気のなさに国民も市場も呆れ、何も期待しなくなっているのが現状だが、エコカー補助金が終わり、家電エコポイントが半減することで、暮れには一気に景気が悪化するのは確実である。だが、恐怖はその後だ。経済アナリストの菊池英博氏がこんな不気味なことを言う。
「これは政権内から出ている声ですが、暮れまでに来年度予算を編成できそうにないのです。財務省の言いなりの菅首相は、国債発行を今年度当初並みの44兆円に抑えると宣言してしまった。埋蔵金はもうないと言っている。一方、税収は40兆円程度です。これだと84兆円の予算しか組めない。今年度の92兆円の1割減の超デフレ予算になるしかないが、この大不況の中で本当にこんな緊縮予算を発表したら、日本経済はたちまち恐慌へ突入ですよ」
行き当たりバッタリのその日暮らしの菅政権を見ていると、超デフレ予算も大ありだから、ゾッとしてくる。いよいよ国民生活が破壊される。


─代表選で小沢を総理にしなかった民主党の失敗

「だから、言ったじゃないの」なのである。菅・仙谷コンビに政権を任せたら、こうなることは最初から予想できた。だからこそ、9月の代表選が大事だったのだが、民主党は大マスコミの意図的な世論誘導に惑わされダマされ、「小沢排除」以外に能のないダメ・コンビを選んでしまった。それが大失敗の始まり、亡国的選択だったのである。
「あのとき、小沢氏を新代表・総理に選んでいれば、この国は全然違っていたはずです。代表選期間中の演説、政策提言を比較しても、空き缶首相とは月とスッポンなのはだれにもわかった。小沢氏はあらゆる分野の政策に精通し、設計図を持った政治家。官僚機構が一番恐れているのも政治経験が豊富な小沢氏だから、財務省は埋蔵金隠しなんて、できない。大型景気対策も予算編成も急ピッチで進んだでしょう。円高対策でも米国に注文をつけたり、円高のメリットを生かす政策をどんどん打ち出した。株価は回復し、この国のシステムが変わっていくワクワク感を国民は味わうことができたはずです。それなのに、参院選大敗で無能が証明された菅首相を再選させるなんて、民主党議員たちは本当に大バカですよ」(菊池英博氏=前出)
案の定、菅内閣の支持率はアッという間に30%も急落下している。こうなると大マスコミは、自分たちが菅再選を強力に後押ししたことなど知らんぷりで批判に転じる。幼稚園のような内閣は袋小路でドン詰まりの運命だが、それをジッと待つだけでいいのか。



◆検察の暗黒政治から目を覚ませ

「国民は本気で倒閣を考えないといけません」と語るのは筑波大名誉教授の小林弥六氏(経済学)である。
「もういい加減に、小沢氏排除の陰謀に気づき、目を覚ますべきです。この国は暗い検察主導政治になっている。それがすべてをダメにしているのです。官僚組織の先兵である検察は大マスコミと組んで、民主党政権潰しを続けている。それには能力ある実力者を潰すのが一番と、小沢氏を標的にした。ここにきて検察が冤罪でっち上げ機関であることがハッキリ証明された以上、小沢氏は復権して当然なのに、何を血迷ったのか、立法府の民主党まで検察政治に追随して、小沢氏を追い落とそうとしている。菅首相や仙谷官房長官が保身と無能隠しのために、あえて陰謀に加担しているからです。クリーンでオープンな政治が聞いて呆れます。私利私欲のダーティー政治に走り、その結果、日本経済や外交、国民生活をメチャメチャにしようとしているのが菅政権なのです。一日も早く退陣に追い込むしかありませんし、小沢氏に早く復活してもらって、勢力温存しか考えない官僚組織・大マスコミを叩き潰さない限り、この国に再生はないのです」


菅・仙谷コンビが本当の政治家なら、無能を恥じて潔く身を引くのが筋というもの。ま、それは無理な注文だが、民主党がトップを代えるのは簡単なことだ。それが、9月の代表選失敗の償いでもある。強力な小沢一郎というカードがまだ残されているのだから、何もひるむことはないのだ。




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