官僚の“自爆テロ”なのか(日刊ゲンダイ2010/11/6)

尖閣ビデオ流出事件で永田町、霞が関に流れるウワサ
永田町では尖閣ビデオ流出の“意図”をめぐって、物騒な見方が浮上している。
民主党幹部は「倒閣テロだ」「明らかな政治的テロだ」と吠え、野党議員の間では「責任ばかり押し付けられ鬱憤のたまった官僚の自爆テロだ」という声が広がっているのだ。

警視庁の機密情報流出は内部の仕業という説が有力。尖閣ビデオ流出も内部の不満分子の犯行なのか。
菅政権がマトモな外交政策をやれないことに、官僚組織が猛烈な不安と不満を抱いているのは事実だ。外交評論家の小山貴氏がこう言う。
「危機管理上の問題が起きた時は、外務省や防衛省などが横断で対策会議を開き、米国とも協議をする委員会が自民党政権時代に立ち上がっています。しかし、官僚がサボタージュして伝えていないのか、政治主導で使わないのか、今回の尖閣問題では開かれていません。官僚は、自分たちのノウハウを使わない菅政権に対して、イライラが募っています。漁船問題では、中国に遠慮しないでビデオを公開すべきでした」

元経産官僚の岸博幸・慶応大教授は、「官僚の鬱憤というより、モラルダウンの典型」とこう続ける。
「確信犯で流出させたというより、海保や那覇地検の現場の役人が、外部の第三者に気安く見せて、流出してしまった、という話じゃないか。菅政権が何の責任も取らずあまりにメチャクチャなので、何をやっても許されるという空気が、官僚機構の末端にまで伝染しているのです」
官僚自爆説の他にも、「警視庁が、自らの情報流出問題から世間の目をそらすために流した」とか、「いまさらビデオを全面公開できない政府が、故意に撹乱させるため流した」というトンデモ説まで流れている。
菅政権、いよいよ末期症状だ。





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