ダメ検事のクビをはねる「検察官適格審査会」がついに動き出した

(日刊ゲンダイ2010/11/8)

ウルサ型の民主議員がメンバー入り

地に落ちた検察の信頼回復に、法務省は法相の私的諮問機関として「検察の在り方検討会議」を設置した。千葉景子前法相が座長で、検察の捜査手法や人事制度などを議論する。その一方で、郵便不正事件の証拠捏造については、最高検が引き続き、真相解明と捜査にあたるという。
2つの組織を車の両輪として信頼回復を狙うのだろうが、法相の私的諮問機関や身内の最高検に検察改革が期待できるものか。

それよりも、法務省が恐れているのが、「検察官適格審査会」なる組織だ。国民はこっちを注視するべきである。
「検察審査会」(検審)と混同しそうな「検察官適格審査会」(検適)は、「検察官の罷免」を含む絶大な権限を有する。
メンバーは衆議院議員4人、参議院議員2人。さらに最高裁判事、日弁連会長、学士院会員、有識者らが加わる。合計11人で、3年に1度、全検察官の適格性を審査するのだが、国民からの申し立てがあれば随時審査を開始することができる。これが動き出したのである。
しかも、国会議員は民主党の森ゆうこ参議院議員、辻恵、川内博史、高山智司衆議院議員とウルサ型がズラリと並んだ。

法務・検察関係者は声をひそめてこう言うのだ。
「事件の不起訴を審査する検審とは違って、検適が動き出したら止めようがありません。長年、法務省の担当者は腫れ物に触るようにしてきたのが動き出してしまった」
検適に詳しい保坂展人前衆議院議員も期待を寄せるひとりだ。

「検察官適格審査会は、GHQが検察改革案で示した『検事公選制度』を、当時の司法官僚が受け入れず、逆提案した制度です。つまり、検察改革を迫るGHQを納得させるために形だけの組織をつくったわけです。そのため、検適は長らく、飾り物だった。審査会の決定で罷免された検察官は発足以来、失踪した副検事1人だけ。年間予算は16万円。そのうえ、自民党議員との癒着もあった。検察とうまくやりたいベテラン議員は検適委員になりたがったものです。しかし、先月の国会で委員の入れ替えがあり、検察に厳しい目を持つ民主党議員が就任した。これは大きな変化です」

新メンバーは検適の本来の機能を発揮するために議論を始めようとしている。法務・検察はビビりまくっているに違いない。




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