泣きっ面にハチの菅政権!小沢排除の張本 悪相・仙谷が国を滅ぼす

(日刊ゲンダイ 2010/11/8)
やることなすこと裏目に出る「脱小沢」は完全な間違いだった

―あの時、小沢一郎を代表に選び総理にしておけば、こんな醜態をさらすこともなく民主党のピンチもなかっただろう
―民主党は菅から小沢に代表を替え政権を作り直して出直せの声

無能政権に次々に襲いかかる難題、失態、不始末、トラブル……。泣きっ面にハチの菅首相は「なぜ、オレの時ばかりに……」と頭を抱えているだろうが、自業自得だ。
参院選で惨敗したのに政権にしがみ付き、その後ろ盾として、悪相の官房長官、仙谷に屈服し、小沢一郎を排除したツケである。このボタンのかけ違いこそが、その後の政権運営を歪め、政治を狂わせ、国を危うくしている元凶なのだ。

「中国漁船の衝突、船長の逮捕、釈放を巡るゴタゴタ、警視庁の機密情報漏洩、ロシア大統領の北方領土訪問、そして、今回の衝突ビデオ騒動は、連鎖反応というべきものです。菅政権はタダでさえ、参院で過半数を失っている。それなのに、小沢排除の理論で党内の半分を敵に回した。これじゃあ、マトモな政権運営はできません。その場しのぎ、ゴマカシ、先送りの政治になり、いつも言い訳と保身に汲々とし、諸外国からは突っ込まれ、役人は公然と反旗を翻すようになる。どんどんメルトダウンしていく政権が自ら、一連の騒動を招いているのです」(政治ジャーナリスト・野上忠興氏)

強固な本格政権であれば、中国やロシアだって、ヘタに“ちょっかい”は出せないはずだ。役人だって内部告発にビビる。ところが、菅政権は最悪だ。求心力がないくせに小沢排除でツッパり、迷走・デタラメ政治を続けている。諸外国は舌なめずりだし、政権に批判的な役人たちは完全にソッポを向いている。連日、ありえないような騒動が勃発するのは、無能政権が自らまいた種なのである。


◆世紀の無責任男が保身で政治の悪夢

中でも許しがたいのが、仙谷官房長官の無責任と妄動だ。尖閣ビデオをユーチューブに流した投稿者はsengoku38と名乗った。仙谷は「国家公務員法違反だ」と息巻いていたが、「悪いのはおまえだろ!」と言いたくなる。
「ビデオが海上保安庁から流出したのであれば、さまざまな側面があるのでしょう。現場はきちんと対応したのに、中国人船長が釈放されたことへの憤り。
それを証明するビデオが公開されなかったことへの抗議。いずれにしても、ネット社会の発達によって、いとも簡単に国家の統治機能が崩れてしまう。そんな時代なのですから、政権がしっかりすることがより重要になってきます」(元内閣情報調査室長の大森義夫氏)

永田町では、中国人船長の釈放、ビデオの非公開は仙谷の政治判断とされている。ところが、仙谷は「釈放は那覇地検の判断」と言い、外交に配慮した超法規的措置の責任を役人に押し付け、平然としている。とんでもない無責任男だ。そのうえ、ビデオを公開すれば、「なぜ、釈放したのか!」という国民的批判がわき起こるから、ひた隠し。一般公開を拒否し、国会議員にも、たった6分間の編集版しか見せなかった。
要するに、国民や国家の利益よりも自分の保身なのである。そんな破廉恥政治家が権力の中枢に座り、「陰の総理」を気取っている。先進国ではありえないような話だ。



◆問責決議案を連発されてお陀仏が見えてきた

自分のことしか考えない政治家、仙谷が小沢排除に動くのも同じ理屈、つまり、保身だ。小沢の復権を許したら、自分がパージされる。だから、小沢を徹底的に叩き、抹殺しようとする。
政権の安定を考えればまず、小沢の協力を求めるのが不可欠なのに、自分の利害を優先する。一昨日も記者団の前で調子付き、「小沢なき後……」とか言ったらしいが、ここに仙谷の本性がある。「代表選後はノーサイド」なんて、これっぽっちも思っちゃいないのだ。それどころか、自分からケンカを売る。だから、小沢グループは反発する。党内はグシャグシャ。その結果、中国に足元を見られ、ロシアにはなめられ、浅知恵の権力者がよくやるように真相を封じ込めようとしたら、内部告発で右往左往――。

どうしようもない政権ではないか。

この調子だと、今後も諸外国に軽くあしらわれてしまう。役人は「それみたことか」で反発し、外交、内政のすべてが機能しなくなる。すでに内閣支持率は急降下、共同通信の調査では15ポイントも下がり、32%になったが、30%割れも時間の問題と見るべきだ。
「ビデオ問題は尾を引くと思うし、政権には致命傷になる可能性があります。守秘義務違反だと騒いでいる菅政権は犯人捜しを急ぐのでしょうが、時間がかかれば、『何をやっているんだ』と批判されるし、逮捕しても国民は『知る権利に応えたのになぜ?』と怒る。当然、大臣は辞めないのか、という展開になるし、いや、一番悪いのは仙谷官房長官だということになっていく。内閣支持率が3割を切ったら、自滅でしょうね。野党は参院で官房長官らの問責決議案を出してくる。一気に追い詰められていくと思います」(野上忠興氏=前出)



◆仙谷は小沢に土下座して身を引くべきだ

こうなったら、民主党政権がやるべきことはひとつだ。やっぱり、小沢に頼むしかないのである。評論家の佐高信氏が言う。
「マネジメントの要諦は、嫌いなヤツをどう使うかです。仙谷由人という政治家は小沢一郎だけでなく、長妻昭も使えなかった。陰の総理とかいわれていますが、底の浅い男です。そのうえ、総理の菅直人は何をやりたいのかがさっぱり見えない。何をやるにせよ、腕力がいるが、それが菅にはないのです。その点、小沢一郎には剛腕がある。彼には毒もあるが、毒は薬にもなる。毒にも薬にもならない菅よりはるかにマシです。野中広務は小渕政権の官房長官だったときに自自連立を組むために、それまで悪魔呼ばわりしていた小沢にひれ伏した。仙谷も野中と親しいのであれば、彼を見習って、小沢に土下座すればいいのです」

小沢にひれ伏し、自分は身を引く。もちろん、菅も辞任である。民主党政権に活路があるとすれば、こうして出直すことだ。「闇将軍 野中広務と小沢一郎の正体」(講談社)の著者でジャーナリストの松田賢弥氏にも聞いてみた。
「小沢さんに頭を下げるのは、野中さんにしてみれば苦渋だったでしょうが、決断したらサバサバしていた。参院の数が足りない上に金融危機が吹き荒れていた。こうするしかなかったのです。『消せる過去は消さなきゃならん』と言い、会見では『法案を通すためなら小沢さんにひれ伏してでも、国会審議にご協力いただきたいと頼むことが、内閣の要にあるものの責任だと思っている』と言い切った。もちろん、腹は別でしょうが、『オレが障害になっちゃいかん』とも言っていました」

仙谷は自らの存在が国益に反することを知るべきである。亡国政治家はとっとと辞めて、あとは小沢に託せばいい。




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